情報ひつじ @YyBvatJB19V1LXz
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初サークル参加です!ラミー系カードゲームの新作「OVERHAUL」を販売します! https://twitter.com/YyBvatJB19V1LXz
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- [ボードゲーム作るには] 9. ビジュアルテーマを定めよう
- ビジュアルテーマを定めよう (ビジュアル)テーマとはボードゲームの用語や見た目をどうまとめるかを表します。今回の記事と次回の記事で、テーマをどのように定めていけばよいかを語ります。今回はテーマの大枠、どんな題材を選択すべきかを解説します。次回は具体的なトーン・マナー、フォントなどをどう決定していくべきかを解説します。 メカニクス主導ならメカニクスを主役にテーマを考える 今回の記事はゲームコンセプトがメカニクス主導である場合のテーマの決め方について解説します。以前の記事でゲームコンセプトはメカニクス主導のものとテーマ主導のものがある、という話をしました。テーマ主導のコンセプトの場合はどんな題材のテーマにするか後から悩むことはないでしょう。ゲームとして表現したいテーマが思い浮かぶ所からゲーム制作がスタートしているからです。一方でメカニクス主導のコンセプトの場合、つまりどんなルールのゲームを作りたいか、という点から制作活動がスタートしている場合は、どのようなテーマを設定すべきか迷うかもしれません。この記事ではそのような状況で、どんな風にテーマを決めていけばいいか1つの意見を述べたいと思います。 メカニクス主導のコンセプトの場合は、ゲームのルールをどう補足できるか、という観点でテーマを検討すると良いと考えています。メカニクス主導のコンセプト、という事は、ゲーム制作を通して表現したい事の核はゲームのルールにあるわけです。それならば設定することでルールの欠点を補うようなテーマを選ぶのが良いでしょう。例えばユーザがゲームのルールを理解しやすくなるようなテーマを設定したり、ゲームのプレイ感に沿ったテーマを設定する、といった具合です。 ルールがテーマから伝わるゲームはそれだけで魅力的 ゲームのルールがテーマから伝わる、という事はそのゲームの魅力をぐっと引き立てます。ゲームというのは実際に遊んでもらわないとその魅力が伝わりにくい媒体です。ボードゲームのルールだけを見てもそのゲームの面白さというのはなかなか伝わってきません。しかしルールにあった適切なテーマ設定がされれば、ゲームの面白さをまだ遊んだ事のないユーザに伝えやすくなります。私は前回のゲームマーケット(2023春)が一般参加者としても初参加だったのですが、ルールが伝わる事の重要さを実感しました。私は能動的に参加した、というより友人に連れられて参加したので、事前にどんなゲームが出展されるのか全く調べていませんでした。会場で販売されているゲームを見て、そのアートのレベルの高さに圧倒されたのですが1つ困ったことがありました。それは販売されているボードゲームが、どんなルールのゲームなのかまったく分からない、ということです。きっと出展者の人に聞けば熱心に教えてくれると思うのですが、購入するつもりがあまりないので質問するのも気まずく感じました。しかし遠目に見るだけではどんな題材のゲームなのかはわかってもどんな内容のゲームなのか全くわかりません。しかしサークル「ゼロハウス」さんが発売していた「マドリイズム」というゲームだけは違いました。このゲームはカードに家の間取りの一部が印刷されています。そのカードを中央の場に出していって家の間取りを作っていきます。各プレイヤーはゲーム開始時に得点計算用のカードを渡され、ゲームの最後に家の間取りをそのカードの得点計算にしたがって評価し、もっとも高い点数のプレイヤーが勝利します。このゲームの優れている所はルールの理解しやすさです。間取りが印刷されたカードが場にタイルのように置かれている様子を見れば、すぐに「理想の家の間取りを競うゲーム」なのだと理解できます。そして3分程度説明を聞けばどんなルールでどんな駆け引きが発生するゲームなのか理解できます。私はこのゲームをすぐに購入しました。ゲームマーケットの会場ではきっと「マドリイズム」と同じぐらい面白いゲームがたくさん販売されていたのだと思います。しかし事前調査を何もしなかった自分にとっては、どんなゲームなのか見た目ですぐに伝わった「マドリイズム」が一番魅力的なゲームだと感じたのです。 適切なテーマ設定はユーザがルールを理解するのを助けます。例としてプエルトリコ、というゲームを挙げます。プエルトリコは拡大再生産のメカニクスを取り入れた重量級のボードゲームです。非常にたくさんのリソースを相互に変換していき、勝利点を増やしていきます。このゲームは農園の経営をテーマにしています。畑に労働者を配置して作物を育て、それを生産設備で商品に加工し船で出荷して勝利点を得る、といった具合です。もしこのゲームがテーマの無いゲームだとしたら、今の説明は「リソースAにリソースBを配置してリソースCを生産し、それをリソースDとリソースEを使って勝利点に変換する」といった具合になります。これではだれも理解できないでしょう。テーマとルールが適切に関連づけられているからこそ「畑に労働者を配置して~」という直感的な説明を行うことができるのです。 ビジュアルテーマを定める思考過程の具体的 私自身がボードゲーム「OVERHAUL」を作成する際、どのような思考過程でテーマを定めていったか紹介します。このゲームは完全にメカニクス主導のコンセプトで作り始めていました。はじめはどのようなビジュアルテーマを採用するか全く想定がありませんでした。テストプレイを重ねてルールを確定させた後にテーマの検討を始めました。テーマを決める際は、ゲームルールに残った問題を和らげるように機能するテーマを選択したいと考えていました。どうしてもゲームルール側の修正で解消しきれなかった問題があり、テーマを使ってそれに対処したいということです。 「OVERHAUL」においてルール側の修正で解消しきれなかった問題は、ルールに伝わりにくい点が2点ある、ということです。1点目は「チャレンジ宣言してから手札のカードを一気に出す。大富豪のように少しずつ出すことはできない」という点、2点目は「手札のカードは順番を入れ替えてはいけないが、場のカードは手札に自由に差し込んだり外したりしてよい」という点です。これらのルールはゲームコンセプトの「数字を揃えて組み合わせるパズル的な面白さ」を実現するために必須のルールでした。説明書でも重点的に説明してはいるのですが、他のゲームには無いルールなのでどうしても伝わりにくさがありました。テーマ検討の初期では先述の問題を踏まえ、「暗号解読」をテーマにしようと考えていました。「暗号解読」がテーマならば、手札のカードが暗号の文字列で、場のカードがヒントである、という見立てで、2点目の伝わりにくさ「手札のカードは順番を入れ替えてはいけないが~」を説明できます。しかし「暗号解読」では1点目の「チャレンジ宣言してから手札のカードを一気に出す~」という伝わりにくさへの解消にはなっていないと感じていました。少しずつ暗号を解いていってはいけない理由はないですし、そもそも手札からカードを取り除いていく、という動きの感覚と、暗号が解けたか確認する、という感覚が一致しないように思えました。チャレンジ宣言後の「カードを取り除き手札の残りのカードを詰める、カードを取り除き手札の残りのカードを詰める」と繰り返す動きが機械を動作させる感覚に似ていると感じたので、機械関連のテーマを中心に案を検討しました。その検討の中で「機械式時計の修理」というテーマが思い浮かびました。手札のカードで修理対象の時計を表します。場のカードは修理に使う歯車であり、時計に歯車を差し込んだり外したりして修理していきます。そして、修理できたと思ったらチャレンジ宣言し、手札のカードを全て取り除けるか確認します。これは時計の動作確認に当たります。このように考えるとテーマとゲームのルールが対応付けられるようになり、ルールを理解するのにテーマが役に立ってくれるようになります。このことから、このゲームには「機械式時計の修理」がテーマとして適していると判断しました。 テーマによって生まれる魅力 まれな現象だとは思うのですが、ゲームに元々ない魅力がテーマ設定によって生まれるケースもあります。ゲーム制作中にそんな現象を体験したので紹介します。私が今回制作したゲームでは、各プレイヤーがゲーム中1度だけ実行できるアクションがあります。それは「場からカードを1枚選んで取得する代わりに、山札の上から3枚取得する」というものです。普通1ターンに1枚しか取得できないカードを3枚も取得できるので強力なアクションになります。しかしラウンドを跨いでも再度実行できるようにならないアクションなので、使い時には気を付ける必要があります。このアクションを実行しても有効なカードを引けないことがあります。貴重なアクションを消費してしまって無駄になるわけですから愉快な経験ではありません。しかしこれは「そういうもの」と考えていて特に何か修正を加える必要性は感じていませんでした。テストプレイの段階ではこのアクションを、各プレイヤーに1枚だけ配るチップを払うことで実行できる形にしていました。あるとき友人の一人がこのチップを払う時「俺は花京院の魂を賭けるぜ!」と言い出したのです。有名なジョジョのセリフですね(ちょっと文面は違いますが)。これはすごい発明でした。アクション権を浪費するのが楽しくなったのです。例え有効なカードが引けなくても「魂を賭けたのに!」「花京院が死んだ!」といって盛り上がりますし、適切なタイミングで使えなくても「そんな所に花京院の魂を使うのかwww」といって笑いあえます。元々辛いだけの経験だったものがゲームを盛り上げる要素に変わったのです。初作品でパロディをテーマにするのはどうだろうと思ったのでテーマとして採用はしませんでしたが、今でも惜しいことをしたと思っています。
- 2023/12/9 1:41
- 情報ひつじ
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- [ボードゲーム作るには] 8.テストプレイを重ねよう
- テストプレイを重ねよう ボードゲーム制作において、テストプレイのしすぎということはありません。 テストプレイはボードゲーム制作でもっとも重要な工程です。 テストプレイの基本 テストプレイでは製作者のあなた自身もプレイヤーとして参加した方が良いでしょう。創作は自己表現です。ボードゲーム制作においても、ゲームにあなた自身が「面白い」と感じる要素を取り入れて行って、あなた自身が「つまらない」と感じる要素を削っていく、ということが調整の基本です。自分自身がプレイヤーとしてゲームに参加することで、机上の検討では得られなかった知見が得られます。ゲームに参加して自分自身がセンサーとなり、開発中のゲームの何が良くて何が機能していないかを検知していきましょう。ゲームの面白さや問題について自分がどう感じるかを大切にしてください。 テストプレイをする際はメモを取りましょう。メモすべき点としては、プレイ中に気付いた課題、経過時間、得点の明細などがあるかと思います。メモをし忘れがちだけれど重要な項目として、ゲーム終了までに費やしたターン数を挙げます。開発初期のルールではゲーム終了までのターン数が少なすぎたり、多すぎたりするかもしれません。ターン数をメモしておけば、後ほど調整するのに役に立ちます。例えば、10ターン費やした時はだらだらした印象があったからもっとカードの効果を強くしよう、とか、3ターンで終わった時はあまりにも早すぎて楽しめる余地がなかったから勝利条件をより達成しにくくしよう、といった具合です。 テストプレイの重ね方 テストプレイは日を跨いで何度か行いましょう。特に開発初期のテストプレイでは重要かつ根本的な課題が明らかになることが多いです。そのような課題への対処方法をその場で思いつくことは難しいです。また、対処方法を思いつけたとしても対応するモックをその場で作成できない場面もあるかと思います。作成している間、他の人に待っていてもらうわけにもいかないですからね。自分で気付いたり指摘されたりした直後は解決策など到底思い浮かばないような課題であっても、何日かおいたら簡単な対処法がひらめいた、ということも多いです。なので、テストプレイは何度か時期をおいて計画することをお勧めします。 テストプレイを重ねる中での調整は優先すべき項目から順番に対処していきましょう。ゲーム開発の序盤は優先度の大きな課題から順に対処していき、ゲーム開発の終盤はゲームへの影響の大きいパラメータから調整していきましょう。ゲーム開発の序盤は様々な課題を発見すると思います。より根本的な課題は解決により大がかりな変更が必要になる傾向があります。小さな課題から対処していってもその前提から後で覆せざるおえなくなりますので、より根本的な課題を優先的に対処していきましょう。ゲーム開発終盤では各種パラメータの調整を行いますが、これも同様の理由でゲームへの影響が大きそうなパラメータから順に1つずつ調整していくとよいでしょう。 想定プレイ人数のすべてのケースでテストプレイをしてみましょう。例えば35人をプレイ人数とするゲームならば、プレイ人数が3人の時、4人の時、5人の時それぞれでテストプレイしておきましょう。ボードゲームにおいてプレイ人数が異なる、という事はゲーム性に大きな影響を与えます。4人プレイで非常に面白いゲームであっても3人プレイ時や5人プレイ時では面白さが半減する、ということもありえます。大丈夫なはずだと思いこまず、テストしてみることをお勧めします。私自身もテストして良かった、という経験があります。私が制作していたゲーム「OVERHAUL」では35人をプレイ人数と設定していました。主に4人プレイ時をコアターゲットとして制作し、ある程度ルールが固まった後に5人でのテストプレイをしました。しかし3人でのテストプレイは行っていませんでした。理由は3人プレイ時は4人プレイ時との差分が小さいと思い込んでいたためです。私の制作ゲームでは5人で遊ぶ際と4人で遊ぶ際とで初期手札枚数が異なっていました。そのため5人で遊ぶ場合のテストプレイだけは絶対に必要である、という認識はありました。一方で3人で遊ぶ場合のテストプレイが必須であるという認識はありませんでした。3人でプレイする場合の初期手札枚数は4人プレイ時の枚数と同じだったため、わざわざテストプレイする必要性を感じていませんでした。3人プレイ時の課題に気付けたのは偶然です。テストプレイに協力してくれていた友人が、その人自身の別の友人と私のゲームを遊んでもらう機会があり、その際3人で遊んでくれました。そしてその場で現状の得点計算ルールだとゲーム途中で勝者が確定してしまう課題があることが分かりました。4人プレイ時を主眼において調整した得点計算のルールが、3人プレイ時はうまく働かなかったのです。友人が課題を私に伝えてくれたおかげでルールの修正を行うことができましたが肝の冷える経験でした。このように問題がないはずだと思っていても実際にはそうではない、という事はよく起こりますので、テストプレイはすべてのケースのプレイ人数でしっかり行いましょう。 テストプレイ中にもらった意見の受け止め方 テストプレイをする際は、協力してくれた方の提案よりもその提案に至った原因に注目するようにしましょう。テストプレイ時に協力してくれた人から「こうすれば良いのではないか」という提案をもらうことがあるかもしれません。それ自体は大変ありがたいのですが、それをそのまま取り入れる事はおすすめしません。一般に、ある問題を解決するアイデアがそのまま商品に取り入れられることは滅多にありません。商品にはたくさんの基準があり、それらの基準を同時に満たすことのできるアイデアだけがうまく機能するからです。ボードゲーム制作者のあなたも、自分の作品で守りたい様々な基準・価値観があるはずです。他の人のアイデアはあなたの価値観に沿った形にボードゲームを変化させてくれるとはかぎりません。なので、何らかの提案を聞いたら、すぐに採用せず、その背景を詳しく質問してみるとよいでしょう。提案の背景にはボードゲームが抱える課題が含まれているかもしれません。アイデアそのものは採用したいと思わなくとも、その提案に至る背景・原因には納得できることが多いです。 テストプレイでの評判が悪くても、すぐに諦めるべきではないかもしれません。開発初期のゲームは課題の残った状態です。そのため、一人回しではあなたが感じることのできた面白さを、テストプレイでは協力してくれる人が感じることができないかもしれません。テストプレイでの評判が悪いというのは非常に堪えるものです。制作を止めたくなります。しかし娯楽に対する感じ方は人それぞれです。あなた自身がゲームに面白さを感じることができるならば、アイデアを捨てず課題をつぶしていけば表現する価値のあるゲームになります。少なくともあなたと同じ感性の人には気に入られる作品になるからです。私がゲームのモックを作り始めて友人に遊んでもらったとき、友人の反応は決してよいものではありませんでした。ルールに曖昧な部分が残っていましたしインストのできも惨憺たるものでした。その結果を受けて私は制作を止めてしまいました。転機になったのは2023春のゲームマーケットでした。ゲームマーケットの際に久々に会った友人に「自分もボードゲームのモックを作った」という話をした所、ぜひ遊んでみたいと言いました。この時点ではゲーム制作を続けるつもりはまったくありませんでしたが、半ば強引に押し切られて自作のモックで遊んでもらうことになりました。秋葉原のボードゲーム屋で遊んでもらった所、「すごい!」「面白い!」と自分が思っていた以上に褒めてもらいました。その時の経験が今回ボードゲームを制作し、こんな文章を書く原動力になっています。初めて自分の作品を認めてくれる人を見つけるまでは辛い期間ですが、正念場なのだと思います。自分が価値があると感じるゲームならば、諦めず改良を続け、色んな人に触れてもらうとよいですね。
- 2023/12/7 3:06
- 情報ひつじ
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- [ボードゲーム作るには] 7 面白さの核を確立しよう
- 「面白さの核」を確立しよう ボードゲーム制作の際はまず「面白さの核」を確立することが重要です。ボードゲーム作りではアイデアを元に何度も修正を重ねます。しかし初めのアイデアが筋の悪いものだといくら修正を重ねてもなかなか面白くなりません。時間をかければボードゲームがつまらなくなる要因を取り除いていくことは可能ですが、「つまらなくなる要因」を全て取り除けば面白いゲームができるわけではありません。マイナス要因を削っていけば「ちゃんと作った」ゲームにはなるけれど、魅力的といえるゲームにするにはそのゲーム独自の核となるアイデアが必要となります。「面白さの核」を早く確立することをお勧めしているのはアイデアの見極めを早期に行い、筋の悪いアイデアを早いタイミングで捨てて無駄な時間を消費しないためです。 「面白さの核」とは 「面白さの核」が確立した状態というのは伝えたい面白さがゲームの中で表現できている事が確認できる状態です。ゲームの主要なメカニクスを作り、実際にそれを一人回ししたりテストプレイした時に、自分が狙った面白さを感じることができる瞬間があれば「面白さの核」ができたといって良いと思います。「面白い」と思える瞬間が少なくても構いません。配られた手札が運よく特定の状態になった時だけ面白い駆け引きができるとか、ゲームの最初だけ面白い、でもOKです。自分が心から面白いと思えるタイミングがあれば、それが「面白さの核」だと言えるでしょう。狙った面白さが表現できている事が確認できれば、決めていないルールや欠点が残っていても構いません。まずは「問題をこれからつぶしていけばゲームとして成立する」という手ごたえがあるかを意識してください。 「面白さの核」を確立するには 「面白さの核」を確立するには、まずゲームの一人回しをしてみましょう。ゲームというのはルールを見ただけでは面白いかどうかわかりません。これはボードゲーム作りでも同じことが言えます。たとえ自分が考えたルールであっても、実際に自分でプレイしてみるまではどれぐらい面白いか分からないものです。ルールを作った時は面白いものになったと思っていても実際に回してみるとゲームとして成立してさえいなかった、という事はざらにあります。大まかにルールを考えて必要なコンポーネントを特定したら、モックを作ってみることをお勧めします。それらのモックを動かしながらルールを考えていった方が、頭で考えるよりも良いアイデアが思いつきやすいです。 「面白さの核」を確立するにはゲームコンセプトと原則の両立を目指しましょう。ここでいう原則とは前回説明した「意味のある選択」という原則です。コンセプトは表現できていても原則を満たしていないと企画倒れのゲームになってしまいます。「意味のある選択」にならないゲームというのは、勝利のために打つべき手が決まってしまったり、ゲームの途中で勝者が明らかになりそれ以上プレイし続ける意味が無くなってしまったりするからです。一方で「意味のある選択」という原則を満たしていたとしてもコンセプトに沿った面白さになっていないゲームは魅力の欠けるゲームになってしまいます。原則に沿えば「遊べる」ゲームにはなるかもしれませんが、狙った面白さが十分に表現できていないなら、もう一度遊びたいと思えるほど人に印象を残せないゲームになりがちです。 「面白さの核」を意識した試行錯誤の具体例 「面白さの核」を確立するまでの試行錯誤の具体例として、私がボードゲーム「OVERHAUL」を制作したケースを紹介します。このゲームのコンセプトは「数字を揃えて組み合わせるパズル的な面白さ」です。また、制作の際の制約として「持ち運びできるようにカードのみで構成する」というのも意識していました。初め「麻雀のカードゲーム化」というところからスタートしたボードゲーム作りですが、以下の3つの問題を解決したタイミングで「面白さの核」を確立できたと感じました。 1つ目の問題は手札枚数の問題です。麻雀を単純にカードゲーム化すると手札が14枚になって持ちにくいという問題があります。しかし単純に手札の数を減らしてみると、自分が麻雀に感じていた「効率の良い揃え方を考える」楽しさは減ってしまいました。この手札数の問題の突破口になったのは「スカウト」というゲームでした。 「スカウト」は、前に出した人のカードよりも強いカードを出していってはじめに手札をすべて出し切った人が勝ち、というゲームです。大富豪のように同じ数字のカードや数字が連番になっているカードは一度に場に出すことができるのですが、1つ出し方に制約があります。それは手札のカードの順番を入れ替えることができないということです。順番を入れ替えることができないので、手札の中で組を作りづらく孤立したカードを出すことが難しくなります。そのため場からカードを取る時、手札のどこに差し込むかが重要になります。手札の順番を入れ替えられない制約のおかげで初期手札の枚数が麻雀よりも少ないにも拘わらず、どのように組み合わせれば効率よくあがれるのかを考える面白さが生まれています。このメカニクスを採用することで、少ない手札枚数でも「数字を揃えて組み合わせるパズル的な面白さ」が表現できると考えました。 2つ目の問題はカードの出し方です。この点については前回で話した内容と重複します。初めは発想元になった「スカウト」同様、毎ターンカードを出していくルールでした。しかしそのようなルールではカードを出すたびに手札が減っていってカードの出し方の組み合わせが減ります。そのため、ゲームが進むほど「数字を組み合わせる」面白さが減り、スタート直後しかそういう面白さの無いゲームになってしまっていました。この問題はチャレンジ宣言のルールを作ることで解決しました。毎ターンカードを出していくのではなく、取得したカードを場にストックしていきます。場のカードと手札であがれると判断したプレイヤーはチャレンジ宣言します。チャレンジしたら場のカードを好きに手札に差し込み、その後、同じ数字や連番の条件を満たしたカードを取り除き全ての手札を取り除ければあがり、というルールに変更しました。このルールに変えると手札のカードはゲーム終了まで減ることがなく、逆に場のカードが増えていくことで考えられる数字の組み合わせが増えていくことになります。そのため、最後まで「数字を組み合わせる」面白さが残るゲームになりました。 3つ目の問題はチャレンジ宣言の失敗です。チャレンジ宣言をした後に場のカードを手札に差し込んであがりになったかどうか確認するルールとしましたが、あがれない時にチャレンジ宣言してしまうケースが多く発生しました。理由は手札からカードを出した後、残りの手札は出したカードの間を詰める、というルールにしていたからです。 このルールによって組み合わせ方が増えるためゲームに奥深さが生まれます。しかしこのルールには問題がありました。チャレンジ失敗時にプレイヤーにつらい思いをさせてしまうというものです。チャレンジ宣言時にはカードを実際出しながら成否を確認するので、チャレンジ宣言後は手札を元の状態に戻せません。そのためチャレンジ宣言に失敗したプレイヤーを失格にせざるおえないのです。しかも、場のカードを手札に差し込んでしまうとどれが手札でどれが場から差し込んだカードなのか分からなくなってしまうので、そのような行動を禁止していました。このルールのせいでプレイヤーは自分があがれるかどうか場と手札を見ながら暗算する必要がありました。この問題はカードを2種類に分けてそれぞれ別のデザインを採用することで解決しました。手札として配るカードと場から取得できるカードを分け、それぞれ別の色、別のアイコンのデザインにしました。これにより、プレイヤーはゲーム中、手札に場から取得したカードを差し込んであがれているかどうか確認することができます。デザインが異なるので、手札に差し込んでも初期手札の状態に簡単に戻せるため、カードの差し込みを禁止せずに済むからです。この変更によりプレイヤーはチャレンジ宣言する前にしっかり確認できるようになり、チャレンジ失敗の可能性を大幅に下げることができました。 3つの問題、手札枚数・カードの出し方・チャレンジ宣言失敗の問題が解決した段階で「面白さの核」が確立できたという実感がありました。この段階ではたくさん未検討事項が残っていました。カードが全部で何枚あるかも得点計算の仕組みもプレイヤー数も決まっていませんでした。しかし一人回しで触っていて十分に面白いと感じることができたのです。この後ルールの詳細を詰め、テストプレイをする中で様々な問題が出てきましたが、自信を持って対処していくことができました。それは「今感じている面白さを損なわないように調整すれば、必ず良いゲームになる」と信じることができたからです。
- 2023/12/5 2:27
- 情報ひつじ
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- [ボードゲーム作るには] 6. ゲームの原則を守ろう
- ゲームの原則を守ろう 前回ゲームコンセプトがゲームの調整の際に役に立つ、という話をしましたが、調整の際もう一つの基準となる原則を紹介します。 ここで紹介したい原則は「意味のある選択」というものです。ボードゲームをプレイする際、プレイヤーは複数の選択肢から自分の行動を選びます。その時に選択する意味がないようなゲームはつまらない、という原則です。当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、意外と破ってしまいがちな原則でもあります。特に開発途中の段階のゲームではこの原則を守れていないケースが多いです。以下、「意味のある選択」になっていない4つの頻出パターンを紹介します。 「意味のある選択」にならない4つの頻出パターン 「意味のある選択」になっていないパターンその1は、「明らかに強い手が明確」というものです。ルールとして選択肢が複数用意されているのだけれど、ゲームに勝つために打つべき手は1つしかない、というのはもっとも頻出のパターンだと思います。このような状況に陥ってしまうとプレイ中、その明らかに強い手を選択するしかやることが無くなってしまうので、ゲームを遊ぶというより単に作業している状態になってしまいます。 「意味のある選択」になっていないパターンその2は、「ゲームの途中で勝敗が実質的に決まってしまう」というものです。多くのゲームは勝敗を競うものですが、展開によってはゲームの途中で差が付きすぎて下位のプレイヤーが到底逆転できない、という場合があります。そのような状況では負けているプレイヤーはどんな選択をこれからしたところで逆転できないので「意味のある選択」だと感じられず、ただ辛いだけの時間になってしまいます。このような状況は特に拡大再生産のメカニクスを採用しているゲームに起こりがちです。拡大再生産ゲームは有利な人ほどよりたくさんの資源を取得できるルールなので、ゲーム初めの数ターンがうまくいかないとそれ以降逆転できず差が広がっていく、という展開になりがちです。ドミニオンというゲームは勝利点カードがデッキに含まれて相手から見えないので、誰が何点持っているか分からないデザインになっています。これは勝者が誰か分からないようにしてプレイヤーのやる気を削がないようにする狙いがあるのかもしれません。 「意味のある選択」になっていないパターンその3は、「ゲーム全体の中で意味のある選択をできる機会が少ない」というものです。ジレンマを感じるタイミングはあるのだけれど、そのような選択をする機会がゲームの中で少ない、と言うゲームは結構多いです。例えばハーツのようなトリックテイキング系ゲームは手札を毎ターン出していきますが、半分以上のターンでは最も最適なカードが一意に定まります。ゲーム全体としてはリスクの高いカードをいつ出すのか、という面白さはあるのですが、リスクの高いカードを出すかどうか悩む機会はゲーム全体では少なく、多くのターンでは失点のリスクがないカードを出すのが最適解になります。拡大再生産系のゲームでも同じようなことが生じます。拡大再生産ゲームでは複数の戦略が用意されていますが、最初の数ターンで戦略を決めたら、あとはその戦略に沿ったカードを取っていく事が最適解になります。そのようなゲームでは複数の選択肢が用意されていても取るべき行動が1つに決まってきてしまいがちです。 「意味のある選択」になっていないパターンその4は、「どの手を選べばいいかわからない」というものです。選択肢が用意されていてもどれを選択すればどう勝利に近づけるのかプレイヤーが想像できないと、選択することが面白くありません。ゲームをどう変化させる選択なのか理解できないので、意味のある選択をしていると感じられないのです。このパターンは重量級のゲームで頻出します。ゲーム自体が複雑なので、特に初プレイ時は何を目指せばよいのか分からないのです。「宝石の煌めき」というゲームではセットアップ時に高得点が得られるタイルを場に公開することでこの問題をある程度解消しています。場に明らかに勝利に近づけるタイルが置かれているので、初プレイ時でも、とりあえずそのタイルを獲得することを目標にプレイすることができます。 「意味のある選択」原則に沿ってゲームを調整した事例の紹介 原則を元にどのようにゲームを調整していくのか、私が制作したボードゲーム「OVERHAUL」の事例で紹介します。このゲームは時計の修理の速さを競うゲームです。手札として配られる時計カードとターンごとに場から獲得する歯車カードを組み合わせてあがりを目指します。詳しく知りたい方は記事の最後に貼る画像やゲーム紹介ページのリンク先を見てください。制作中、このゲームは原則を破る2つの問題を抱えていました。 1つ目の問題は「ゲームの途中で勝敗が実質的に決まってしまう」というものです。「OVERHAUL」はラウンド制のゲームでプレイヤーと同じ人数のラウンドを繰り返します。開発当初は、1回のラウンドごとに最初にあがったプレイヤーに3点、それ以降にあがったプレイヤーに2点、という得点システムでした。この得点システムだと終盤のラウンドに入るとゲームが終わる前に1位のプレイヤーが確定したり、ビリになるプレイヤーが決まってしまうケースが多々発生しました。これはある程度までならば仕方ないですが、ラウンドごとに固定の得点が得られるこの得点システムだと最終ラウンド前に勝者が決まるケースが多く問題だと感じていました。この問題は、得点に絡む特別なカードを用意することで対処しました。あがりの際に利用していると1点得られるカードを導入することで、1ラウンドあたりの得点にばらつきを持たせることにしました。このルールを追加することで逆転のチャンスが生まれ、多少の不利ならばプレイ次第で最終ラウンドからも巻き返せるようになりました。 2つ目の問題は「ゲーム全体の中で意味のある選択をできる機会が少ない」というものでした。「OBERHAUL」は開発当初、手札から取り除けるカードの組み合わせができたら、そのターン中に手札から取り出していくルールでした。しかしこのルールは大問題でした。手札からカードを取り出して残り枚数が少なくなると、手札のカードを取り除くのに必要なカードが自明になります。すると、後のターンはその必要なカードが引けるか引けないかの坊主めくりになってしまい、選択肢の中から考える面白さが無くなってしまいました。この問題は、カードを取り除くタイミングを変えることで対処しました。毎ターン取り除けるカードを取り除くのではなく、手札のカードをすべて取り除けるタイミングになったらチャレンジ宣言し、チャレンジ宣言後一気に全てのカードを取り除ければチャレンジ成功(あがり)、というルールに変更しました。いうなれば大貧民のように少しずつ出していくのではなく、麻雀のように特定の揃え方が出来たタイミングであがり、というルールに変えたのです。これによりラウンド終了の直前まで手札の枚数が減らないので、手札のカードをどのような組み合わせとしてみるべきか、そのために必要なカードは何かを考える楽しさがずっと続くゲームになりました。 おわりに 目の前の面白くないゲームをいかにして面白くしていくか、というのはゲーム制作において最も苦労する点です。ルールを修正していく際、ここで紹介した原則を基準にすれば面白くない原因を特定するのに役に立つでしょう! 「OVERHAUL」紹介ページ
- 2023/12/3 3:34
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- [ボードゲーム作るには] 5. ゲームコンセプトを定めよう
- ゲームコンセプトを定めよう ゲームコンセプトとはどんな面白さを伝えたいか、を言葉に直したものだと考えています。この記事ではゲームコンセプトはどういうものか、どうやって具体化していけばいいか説明します。 コンセプトの種類 ゲームコンセプトは大別するとメカニクス主導とテーマ主導があります。メカニクス主導のコンセプトは伝えたい面白さがゲームメカニクスと強く紐づいているコンセプトです。例えば「下手な人が損をする苦しさを無くすこととトリックテイキング系の面白さを両立させたい」とか「デッキ構築のメカニクスとバースト系の高揚感を組み合わせたい」といった具合です。一方テーマ主導のコンセプトはどんなシチュエーションをボードゲームで追体験させたいか、という点に重きを置いたコンセプトです。例えば「課長になって社員をブラックにこき使って利益を上げたい」とか「焼肉食べ放題で効率よく注文して元を取りたい」といった具合です。 コンセプトを明確にしておくメリット ゲームコンセプトを明確にしておくとゲームの調整をする際、指針になります。ゲームを調整していく中で様々な調整項目が出てきます。その時にコンセプトを定めておくと調整案の評価基準になります。小さなものも含めるとゲームの調整項目は非常にたくさんあります。コンセプトが明確だとそれらの調整項目の判断を一貫して行えます。一貫した判断を重ねられれば、制作したゲームでそのゲーム特有の面白さを実現できる可能性が高まります。例えば「焼肉食べ放題で効率よく注文して元を取りたい」というコンセプトでゲームを作り始めた時、作ったゲームが戦略性の高い頭を悩ませるタイプのゲームになっていたらどうでしょう。ゲームとして出来が良くても、プレイ感が「焼肉食べ放題」という題材に即したものでなければ、本来作りたかったはずのゲームから離れたものになっている、と判断できます。 コンセプトの作り方 ゲームコンセプトは自分が表現したいゲームがどんなものであるかを元に着想しましょう。自分の本心からの言葉をコンセプトとしない場合、コンセプトに沿ってゲームを調整すればするほど自分が実現したかったゲームから離れたものになってしまいます。一人で制作するのではなく協力してくれる人がいる場合、その人の意見に影響されて自分の好みと一致しないコンセプトを立ててしまうケースがあります。しかしそのようなコンセプトを立ててしまうと本来表現したかった方向と別の目標に向けてゲーム制作を進めていくことになってしまいます。ゲーム制作を主導する人は、どんなゲームを目指しているのかは自分の意見を明確に宣言するべきです。自分の意見を宣言した方が他の人もどう協力すればよいか、どんな意見を言えばよいか分かりやすいので、あなたを助けやすくなるはずです。 ゲームコンセプトをうまく立てるには普段から感受性を高めることが重要です。ゲームコンセプトの立案は短時間で行うのは難しいです。頭で考えたからといって表現したいものが浮かんでくるわけではないからです。期間を決めてその間必死に考えようとするよりも、普段から自分がどんなことを面白いと思うのかを分析する方が良いコンセプトに繋がりやすいと思います。例えば、遊んでみたゲームが面白かったら自分がそのゲームのどの部分を特に面白いと感じているのか言葉に書き出してみる、とか、生活の中で面白い体験をしたらその体験と似た構造のゲームメカニクスが無いか調べてみる、といった具合です。 コンセプトを立てる時、制約事項を元にゲームコンセプトを考えることもできます。例えばワーカープレイスメントのゲームを遊んで、「ランダム性を排除してもゲームが成立するのではないか」と感じたら「ランダム性を排除したワーカープレイスメント」というコンセプトを立てられます。上で挙げた「下手な人が損をする苦しさを無くすこととトリックテイキング系の面白さを両立させたい」というのも制約をベースにしたコンセプトですね。トリックテイキングというメカニクスは基本的に失点カードを引き取る、というものなので、下手であればあるほど失点を引き取らなければならないのが普通です。そこを何とかしたい、というのも立派なコンセプトの種だと思います。 ゲームコンセプトはボードゲーム制作中も絶えずブラッシュアップしていきましょう。初めから具体的なコンセプトを掲げそれを動かさない、というのが1つの理想ですが、ゲーム制作の初めの段階ではどんなゲームを目指すべきか自分の中で曖昧な部分が残っている場合があります。ゲームを作り始め、自分でルールを立ててテストプレイする中で経験値が蓄積し、自分が表現したい方向性が明確になっていきます。なので、ゲーム制作を進める際はルールを決めたりデザイン作業をする一方で時々コンセプトに立ち返り、自分が作りたいゲームをより適切な言葉で表せないか考える機会を設けましょう。 ゲームのコンセプトを具体化した例 私自身がどんな風にコンセプトを具体化していったかを紹介します。私の今回のボードゲームは「数字を揃えて組み合わせるパズル的な面白さ」をコンセプトに掲げています。しかし初めからこのようにコンセプトが明確だったわけではないです。そもそも初めに考えていたのは「持ち運びできる麻雀」を作りたいということでした。 麻雀は優れたゲームです。麻雀には様々な面白さがあります。運が絡むので初心者でも熟練者に勝てること、役満を揃えれば終盤でも逆転できること、どの牌を捨てるのが一番効率よくあがれるか考えること、戦うか降りるかの駆け引き、などです。 私は麻雀が好きなのですが1つ不満がありました。それは外に持っていきづらいということです。カード麻雀はありますがカードを14枚手に持つと広げにくいと言う問題があります。スタンドを使う手もありますが、スタンドを使うと置く場所の問題で他のプレイヤーから見えやすくなったり、スタンド自体が嵩張ってしまうのが嫌に感じていました。なので「持ち運びできる麻雀」をコンセプトにボードゲームを制作できないか考えていました。 持ち運びできるように麻雀をカードゲーム化しようとしましたがうまく行きませんでした。軽くするためにはカードの枚数を減らしたいのですが、手札のカード数を減らすとあがり方のバリエーションが少なくなり、面白さが薄くなってしまったように感じました。別の記事で詳しく語りますが、手札数の問題は長らく解決しませんでした。 麻雀ベースのカードゲームを検討することで、自分が麻雀のどの部分を面白いと感じていたのか明確に理解できるようになりました。私は麻雀の「効率の良い揃え方を考える」部分に強く面白さを感じていました。手札の数を減らしても麻雀の推し引きや役満といった面白さは残りますが、あがりかたのバリエーションが減ってしまう分「効率の良い揃え方を考える」楽しさは減ってしまっていました。この体験から作りたいゲームのコンセプトが持ち運びできる麻雀」から「数字を揃えて組み合わせるパズル的な面白さ」に変わっていきました。 このように私は普段から何となく作りたい方向性を考えていて、試作をする中でコンセプトを具体化していきました。ボードゲームが好きな人は、きっと既にコンセプトの種のようなものを持っていると思います。そういう種は内省したり試作したりしてうまく育てていければポピュラーなボードゲームに匹敵するゲームになるかもしれません。大切にしてください。
- 2023/12/2 2:58
- 情報ひつじ
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