なおちゃん工房 @64SxV68OJS50943
オリジナルボードゲームを作成しているなおちゃん工房です。2025秋ではハート&ダガーというミニマル心理バトルゲームを頒布します!
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- 優れたアイデアはいくつかの問題を同時に解決する。
- タイトルは任天堂の宮本茂さんの名言です。ハート&ダガーを作っている最中まさに、とあるアイデアが複数の問題を解決したことがありました。(任天堂となおちゃん工房では抱えている問題も思いつくアイデアも、その規模感に天と地ほどの差があるとは思いますが笑)ハート&ダガーのサンプルが完成して、いざ子供たちとプレイした時の話です。ルールもあっという間に覚えて楽しい!と喜んでプレイする子供たちの姿に安心したのも束の間。しばらくするとある問題にぶち当たります。 同点による引き分け終了の割合が思いのほか多い。 ゲームのシステムを思いついた段階で同点終了があるゲームだということは理解していました。自分はそれでもいいと考えていました。同点なら勝負がつくまで再戦を繰り返せばいいというのが自分の考えでした。しかし実際にプレイしてみると同点終了の割合が想定よりも多いのです。短時間でサクッとプレイできることを売りにしているハート&ダガーには、度重なる再戦による間延び感は致命的でした。どうしたものか。考え込んでいると当時小学5年生だった長男が言いました。「同点になった瞬間にハート&ダガーって言った方が勝ちにすればいいんじゃない?」............なるほど....いや...どうなんだろう??UNOやダウトのような宣言系ルールの導入。安直というのが正直な感想でした。しかし実際にやってみるとどうでしょう?これが思いのほか盛り上がる。何故なのか?ハート&ダガーには同点終了の割合の多さの他に、もう一つ問題がありました。それはゲームの終了タイミングがやや難解であることでした。短剣5枚、盾5枚、心臓5枚による15枚の手札。これら全てを場に出し終えた時、ポイントが高い方が勝ちというのが基本ルール。しかしハート&ダガーにはゲームの途中でもお互いの手札の状況から勝敗が確定してしまう、いわゆる詰みの状況が発生することがありました。そうなれば手札が残っていてもゲーム終了となるのですが、この終了の判断がやや難しい。それはゲーム途中での同点終了にも同じことが言えました。どの順番でカードを出しても絶対に同点で終了する。自分の残りカードと相手の残りカードの内訳からそう結論づけるまでの道筋がまるでパズルのようでした。パズル。そうか、それならそのパズルもゲームにしてしまえばいい。お互いの残りカード状況からいち早く同点終了すると判断できたプレイヤーがハート&ダガーコールをする。パズルの早解き合戦にしてしまえばいい。コール後にお互いの手札を検証して、同点以外の可能性がまだ残っていれば誤コールとなり、コールしたプレイヤーが負けとなってしまうため当てずっぽうで言えばいいということでもない。こうして本筋とは関係なかったゲーム終了の判断作業が、パズルの早解きというゲームに昇華したのです。このハート&ダガーコールのルールは正式に説明書へと記載させる運びとなり「同点終了の割合が多い」「ゲーム終了のタイミングがやや難解」という2つの問題を同時にクリアにしたのです。小学5年生の長男はそこまで深いことは考えてなかったと思いますが感謝しています。刷り上がった説明書を見て「俺のアイデアが正式にルールになってる!」と興奮気味に話していた姿はすこし面白かった。 最後に詰めハート&ダガーを一問!下記の状況になった時、最後までプレイしても結果は変わりません。その結果とは ①あなたの勝ち ②同点 ③相手の勝ち の内どれでしょう?? あなた 1ポイント残り手札 短剣1枚 心臓2枚相手 0ポイント残り手札 短剣2枚 心臓1枚
- 2025/11/2 17:44
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- 全員が手に入るゲーム。
- 初参戦のゲームマーケット2025秋ですが頒布品のハート&ダガーは予約不可になっております。 手に入りにくくすることによってレア度を高め、射倖心を煽りたいのか?? いえ、その全く逆です。ハート&ダガーは欲しいと思った人全員が確実に手に入ります。なのでわざわざ予約フォームを作る必要がないということですね。 ハーダガのシステムが完成した時「やばい、これは面白すぎるので100セットだと一瞬で狩られてしまう。200作ろう」と真剣に思いました。結果、本当に200作りました。しかし私もルーキーとはいえ、一端の大人。他のサークル様のゲームの素晴らしさや過去のゲムマ市場の動向、他イベントでのハーダガの売れ行きを見れば、現実はそこまで甘くないことは割とすぐに分かりました。ですがそこに悲観はありません。「よかった、完売はおそらくないけどこれで欲しい人全員が手に入る」と安堵の気持ちが湧きました。本当は完売させて利益もバッチリ出すのがプロなのでしょう。その一方で自分の作ったゲームを楽しいと言ってくれる人全員にお届けするのもまたプロの仕事と言えるでしょう。顔も名前も知らない人が自分のゲームを買ってくれた。それが1人でもいいじゃないですか。ですから皆さん。なおちゃん工房のブースには焦らずゆっくり来てください。土曜日も日曜日もどちらもおります。午後からのんびり来ても確実に手に入ります。他のサークル様の手に入りづらいゲームを確保した後でも大丈夫ですよ!本当は少数しかないのでお急ぎください!と煽るのが商売のセオリーだということも重々理解しております。ですが現状をありのままに書いてみるのも面白いじゃないですか。 試遊もできますから2日間遊び倒しましょう!
- 2025/10/23 9:24
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- ハート&ダガーは何故面白いのか作った人が解説してみる
- えらいタイトルだ。何を隠そう2025年秋のゲムマが初出展のなおちゃん工房。ブログのタイトルくらい大きく出ないと心が折れそうなのである。初の頒布品であるハート&ダガーの面白い点を是非とも解説させてください。 ハート&ダガーのルールは次のようなもの。 カードは短剣、盾、心臓の3種類。短剣5枚、盾5枚、心臓5枚、計15枚の手札を2人のプレイヤーがそれぞれ持って対戦する。お互いに好きなカードを1枚選び裏向きに場に出した後、せーのでオープンする。カードの組み合わせでポイントが発生する。 短剣VS心臓 短剣側が1ポイント獲得短剣VS盾 ポイントなし 短剣が無駄になってしまう盾VS心臓 ポイントなし 心臓が無傷で捨てられる短剣VS短剣 盾VS盾 心臓VS心臓 いずれもポイントなし 一度場に出したカードは手札には戻せない。15枚全てのカードを出し終えた時、ポイントの多いプレイヤーが勝ち。 と、ざっくりしたルールはこのような感じ。 よく言われるのは「3すくみのじゃんけんみたいなゲームだね」「カイジの限定じゃんけんやEカードみたいな感じ?」という感想。 はい、合ってます!じゃんけん系のゲームですね。ところが厳密に言うとじゃんけんやEカードのような3すくみにはなっていないのです。じゃんけんは言わずもがな綺麗な3すくみですね。どの手を出しても条件はいっしょ。Eカードはめちゃくちゃ偏った3すくみ。皇帝が圧倒的に強く、奴隷が圧倒的に弱いという偏りを利用した心理戦です。圧倒的に強い皇帝ですが奴隷には倒されてしまうので3すくみは保っています。ところがハート&ダガーはどうでしょう?ポイントが発生する組み合わせは短剣VS心臓のみ。つまり短剣は引き分けることはあっても負けることは絶対にないのです。反対に心臓は引き分けることはあっても勝つことは絶対にないのです。つまり短剣→盾→心臓という明確な強さのカーストが存在するわけです。この「絶対に負けないカードが存在する」というゲーム、果たして成立するのでしょうか??はたまた「絶対に勝てないカードが存在する」というゲームはどうでしょう?ハーダガはそのどちらも含んでおりますがきちんと成立しています。ここがこのゲームの最大の面白ポイントかと思います。短剣はその最強さゆえ「絶対に無駄にはできない」という緊張感が生まれます。盾でガードされてしまえば貴重な5枚の内の1枚が無駄になってしまうのです。心臓も同じです。その最弱さゆえ「絶対に無傷で捨てなければ」という緊張感が生まれます。相手が盾を出した時に心臓を出せれば5枚の内の1枚を無傷で逃せるのです。この「逃すことだけが目的のカードがある」と言う発想もこれまでのじゃんけん系ゲームにはなかった点かと思います。絶対に負けないカードと絶対に勝てないカードの共存はゲームに破綻ではなく新たな戦略性をもたらしたわけですね。自分の心臓はうまく逃しながら相手の短剣はガードし、チャンスが来たら相手の心臓を一突きに!この超絶偏った不思議な3すくみで是非とも極上の心理戦に酔いしれてくださいませ。
- 2025/10/20 1:28
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