アソビツクース

株式会社ツクースのボードゲームレーベル「アソビツクース」です。 パーティゲーム、アクションバランスゲーム、アブストラクトゲームなど節操なく作っております。手作り率高め!

たぬきとわがしとししおどしができるまで
2025/11/20 22:01
ブログ

思い付き

レーザー加工機を家に買い、モックが気軽に作れる立場となったので、やはり立体物とか作りたくなるものです。
アソビツクースの十八番であるバランスゲーム作っちゃおうかなとか考えちゃうわけですよ。
ちなみに、「カンダタとゆかいな亡者たち」を作っていたころは家にレーザー加工機がなかったため、レーザー加工機使える工房に通いまくってモックを作りました。それに比べたら家にレーザー加工機があるって素晴らしい!
というわけで、作ることにしましたバランスゲーム。

 

最初のかたち

最初からししおどしがあったわけではなく、はじめはゆらゆら揺れる台座にミープル駒を積んでいくゲームでした。
しかも最初はトリテでした。しかし、我々のトリテ能力は低く、すぐにバッティングの方がいいんじゃないかというアドバイスに従い路線変更。
いや、なかなか悪くないんじゃないか、このまま制作を続けてもいいんじゃないかと思ってました。
 


ところが。

何度目かの試遊のときに、異常に積むのが上手なメンツがそろってしまい、全然崩れないという事態になりました。
崩れないバランスゲームのなんとつまらないことか!!バランスゲームは崩れてなんぼです。
というわけでゆらゆら台座はいったんお蔵入りです。

そうだ、ししおどしにしよう!
ゆらゆら台座はあきらめたものの、なんかいい形はないかと考え続けていた時、ふと思いつきました。
トイレに入ってるときに思い付いたような気がします。流した水音から?

ししおどしだったらどうよ?

これなら、絶対にいつか崩れるときがくる!
たまたま、ちょうどよさげな紙管が家にありまして、それを切ってししおどしの形にしてみました。
そして、これもいい具合に木の玉もありまして、入れてみたところこれは良い感じでは?
ししおどしは見た目にもインパクトあるし。

 
 

 

意外と大変だったししおどしづくり

てなわけで、ししおどしで行くことが決まりました。
この時点でだいたいモックできているし、なんなら2025春のゲームマーケットに出せちゃうかもね!というような時期でした。
ところが、ここからが難航するわけです。
最初、ししおどしは紙管に穴をあけて竹ひごを通していました。
この辺のことは、Xにも書いたのですが、竹ひごに玉が引っかかってしまいししおどしが倒れた時に玉が全部出てこないんです。(画像参照)
このあたり本物のししおどしなら水なので問題ないのですが、なにせ玉ですからね。
 
  全部出てこなかったとしても、別にゲームに支障があるわけではないです。倒れたらラウンド終了。出なかった玉はししおどしをふって出してもらえばそれでゲームは成り立ちます。
でも、それだと気持ちよくないですよね?
というわけで、玉が全部出てくるようにするにはどうしたらよいか試行錯誤が始まりました。
上側にあなをあけて、糸を通して竹ひごを紙管の上に固定する。というのも考えましたが、ちゃんと固定されないし見た目がよくない。
下側に切れ込みをいれて支点でシーソーのようにするのも、物が板ではなく紙管故難しい。
外側にパーツを付けてそれに軸をつける、というのは割と早い段階で思いついてはいました。でも、なかなかそのモックを作らなかったのは、製作が大変なのは見えていたから。
別の方法が行き詰まり、覚悟を決めて作ってみました。現在の形。
 

 
 

うまくいきました。
玉はほぼほぼ毎回ざーっと全部出てきます。まれーに玉同士がかみ合って詰まってしまうことが絶対にないわけではないですが、軸を中に通していたころに比べればほとんど出るといっていいくらいです。
しかし、これはめちゃくちゃ大変です。
 

 
  こんなパーツを作らねばならないから。
いや、マジで?と思い、主に手を動かすであろうイチダイに「本当にこれやる?」と聞いたところ「やる」というので、よしやろう!ただし、春には絶対に間に合わないという結論に。

 
 
 

 

素材選びにも難航

ししおどしのお尻におもりをつけて、倒れる個数などのバランスをとることにしましたが、このおもりを何にするかも難航しました。
安定した重さがあること。ししおどしのおしりにつけられるものであること。あまり高くないこと。
これらが条件です。
最初に思い付いたのは、金属のワッシャーです。
まるいし、金属だから重いし。
ただ、あまり安くない・・・・。特に十分な重さのあるものだと、そこそこのお値段がしてしまう・・・
で、思いついたのが、紙粘土。
「うちあげはなびら」を作ったとき、木の棒を植木鉢に立てるのに紙粘土が良いのではないかと思い買ってあったものを試したところ、ちょうどよさげ。
球体の氷を作る製氷皿を使えば半球体もきれいにできるし!
とはいえ紙粘土は乾くのにそれなりに時間がかかります。製氷皿2こ使って20個ずつ作っては乾かしを夏中繰り返していました。
   
そんなこんなでできたのがこれです。
 

最大の落とし穴

レーザー加工機を買ったといいましたが、これを使って量産をするのは難しいです。
レーザー加工機は切るものにもよるのですが、けっこう匂いがでます。今回使ったのはMDFなのですが、MDFを切った匂いは臭いというわけではないですが、けっこう強い匂いがします。
一度、数時間家でいろんなものを切っていたら1週間くらい家の中が焦げ臭かったこともあり、あまり長時間の使用は無理だなと思っていました。
なので、大きい高性能のレーザー加工機を使えるところに行って時間借りして一気に切ろう!と思っていました。
レーザー加工機では一番有名なトロテックというメーカーの、何百万もするような加工機があるんです。それでこう一気にガッとやろう~って思ってたんですよ。
ところが、大きいがゆえに場所によってレーザーの強さにムラが出やすく、板の端と端で切れ具合が微妙に違ってきてしまいました。
それが大きく影響したのがここ。
   
土台を組む穴の部分です。サイズはすべて同じはずなのに、あるところではゆるゆるで、あるところではきつくてハマらないという事態に。
これは調整にめちゃくちゃ時間がかかります。
それをやっていると、時間で借りているためどんどん時間ばかりが溶けてしまいお金もかかるし時間もかかる。
というわけで、仕方ないので家で切ることにしました。先にも言った通り匂いの問題があるので、少しずつ少しずつ切りました。
換気に窓を開けないとつらいのですが、一番製作していた時期は真夏だったので、窓をあけると暑い!!
そんな環境のつらさもありました。

 

システムを作るのも大変だった

たぬきとわがしとししおどしは非常にシンプルなゲームです。
ししおどしに玉を入れていってバーストしたらアウト。それ以外の人で勝者を決める。
それだけといえばそれだけ。
でも、それだけにはしたくなかった。ちゃんと考えられるゲームにしたかった。
そのため、カード構成はなんどもやり直しました。
1~5枚はわりと早い段階で決まっていましたが、どの数で何個いれさせるのか、バッティングした時の処理は?
繰り返し調整して、最後の方でとりいれたのは、バッティングしたときの大玉を入れなくてもよい、という選択肢をとりいれたこと。

それまで、1と2,4と5のカードにあまり大きな差がなかったところ、このルールを取り入れたことで2と4をいつ使うかという戦略性が生まれました。
なかなか最初のうちは、「ししおどしを倒さないこと」に気を取られがちなの気が付かないかもしれませんが、数回やるとカードを出す順番大事ということに気が付いてもらえるかと思います。
 

玉の種類

玉については、12mmの玉と14mmの玉を使っています。
もう少し大きいのや小さいの、素材の違うもう少し重いものを使ったら?とかご意見いただいております。
まず、小さいのはこれ以上小さい玉は手に入りません。
大きいのは試しましたが、あまりに玉が入らなくなりすぎる。すぐに倒れてしまう。おもしろくない。
素材違いはありかもしれませんが、ガラスはばーっと流れたときにちょっと危ない。
金属は世界観にそぐわない。中が金属で外が木?どうやって作るの?
そしてですね、何より、懸念するほど2種類の玉だけでもワンパターンにはならないんです。
大玉がどれくらい入るか、どのタイミングで入るかで、ししおどしが倒れるタイミングも変わってきます。
何度もテストした結果、2種類で問題ないという結論に至りました。

 

量産問題

システムもできししおどしの作り方も決まり、とにかくあとは作るだけ!!
ですが、ししおどしだけではなく、玉も自分たちで染めて、得点チップも作り、玉が転がらないようにいれておく玉囲いも自作。
なんでこんなに自作ばかりかというと、やはり原価を抑えたかったから。
もちろん!人件費は無視なので、大量に業者に発注すれば問題ないのかもしれませんけれども。でもこのししおどし受けてくれるところあります???受けてくれたとしていくらかかるの?
それに、そんなにたくさん在庫を抱えたくはないし。(たくさん作ってたくさん売ればよいというパワー系のご意見はご遠慮ください)
とにかく私たちは自分たちで作るという修羅の道を選んだわけです。
ただ、今回はちょっと手作業部分多すぎました。手作り修羅道サークルとしてどうやら少しは知られているアソビツクースですが今回はやりすぎ。はい。
ここ数年作っている量ほどは作れませんでした。
でも、作れるだけは作りました。一人でも多くの人に遊んでいただきたいです。

ゲームマーケット2025秋 両日D01ブースでお待ちしております!