デバッグモンキーズ @debug_monkeys
2018年から福岡と東京と静岡で活動しているボードゲーム制作サークルです。「ELÄÄ ROTU」「Qubism」「ゾンビパニックとライフルおじさん」「鍋代官」など9作品を制作しています。
- 『PAPITO パピトー』のゲーム開発記
- 2024/4/4 20:18
こんにちは、デバックモンキーズです。
私たちは、ゲームマーケット2024春にて『PAPITO パピトー』という作品を頒布します!
この記事では、『PAPITO パピトー』の開発記を書きます!
どんなゲーム?
ジジ抜きをベースとした推理×協力ゲームです。
ざっくりとした遊び方としては、ジジ抜きを行いながら、場にカードを出せないことが1周したらプレイヤー全員の負け
プレイヤー全員の手札を場に出すことができたら、プレイヤー全員の勝ち、といったゲームです。
細かいルールは説明書で確認することができます!ぜひご覧ください。
https://debugmonkeys.netlify.app/pdf/instruction_papito.pdf
ゲームの開発
ゲームジャンルとしては、ジジ抜き・推理・協力となっており、どういう変遷で開発をしていったかを時系列順で記載していきます。
より皆様に『PAPITO パピトー』を知っていただければ幸いです。
そもそもの始まり
デバッグモンキーズは複数人のメンバーでなるチームです。
そして、年1くらいでボードゲームを作りたいな~というざっくりとした目標で活動しています
(ちなみに、今年で6年が経過して7年目となりました!めでたい!)
私たちは昨年2023年の8月くらいから、とある中量級ボードゲームを開発していました。
このゲームは2023年の秋はゲムマに出せさそうだけど、2024春には出したいね~、という会話をチーム内でしていました。
しかし、この中量級ボードゲームの開発が難航し、「これ、2024春に間に合わないんじゃ???」となったのが、2023年の11月末。
もし作品を出せないとなると、次にゲムマに出れるのが、2024秋。
そうなると2023春のゲムマに出てから、1年半以上の空白を経てしまい、皆様に忘れられてしまうのでは・・・?思い、
「なんとかして、2024春のゲムマに出よう!」という思いがチーム内に沸き上がりました。
そうして生まれたのが、『PAPITO パピトー』です。
なので、明確に『PAPITO パピトー』は「短期間で開発を完了することができる」というのを目指して作られました。
着想~開発初期
ここから、私たちはかなり特殊な(?)ゲーム開発を行います。
(特殊というよりは、とても仕事的な進め方?)
まず、チームでブレインストーミング(通称ブレスト)を行いました。
お題は「2024春のゲムマで何を出したいか?」です。
そして、いくつかの議論のあと
以下のワードに対して、チームは良いと思うということが分かりました。
・インストが簡単
・試遊しやすい
・50枚以下で作る
・ぽっけに入る
・カードだけで作る
・条件に合うカードをプレイ
・ブラフ
・チキンレース
・裏面を使う
・拡大再生産
次のステップでは、このワードから発想し、各メンバーがゲームを1個ずつ考えていきます。
UNOみたいなゲームや、タイル配置のゲーム、カードテキストでバトルするゲーム、などいくつかのゲームが出てきました。
そうして、あるメンバーが「ジジ抜きをして、場にカードを出せないことが1周した時に手札に残っているカードの数字が大きい方が勝ち」というゲームを持ってきます。
上のゲームをTTS上でテストプレイして、みんなでどうだったと感想を言い合っていると
この「ジジ抜きをベースにしたゲーム」が今は面白くないけど、なんか面白くなりそうな気配を感じているということが分かりました。
それを言語化すると、こんな感じ。
・ルール理解は簡単で馴染みやすい
・ルールは理解できるけど、やってみると独特なプレイ感になっていた
ここから、この「ジジ抜きをベースにしたゲーム」を開発していくことが決まりました。
開発中期~後期
最初のテストプレイで持ってきていたジジ抜きのゲームは以下のような特徴がありました。
・対戦ゲームであるが、自分の強さをコントロールできない=完全に運ゲーになっていた
・左隣のプレイヤーにしかインタラクションがない
ここを改善していくことが目下の課題です。
例えば、大富豪というゲームは、自分がどういう強さのカードをどの順番で出すか、というのをプレイヤーが決めることができますし
カードの強さは相対的なものもあれば、絶対的なものがあります。
なので、例えば大富豪は、短い時間で遊べるゲームではありますが、プレイヤーは自分の戦略と場の状況に合わせて様々に対応が求められるゲームなわけです。
ライトなゲームでも、プレイヤーの選択がしっかりとゲームに反映されている、というわけですね。
しかし、いくつかのルール変更をしてみましたが、なんかしっくりこない=コントロールできないところが多いと感じることが分かりました。
このタイミングで、あるメンバーが「協力ゲームにして、場にカードを出しきることを目指していくようにするのはどうか」という提案をしました。
この提案により、「自分の強さをコントロールできない」ということを考えなくてよくなりました
なぜなら、対戦じゃないから自分が強いかどうかは関係ないからです。
そして、「左隣のプレイヤーにしかインタラクションがない」という特徴は「自分がしっかりと考えなければならない」という特徴に変わりました。
つまり、「場にカードを出しきる」というタスクに対して、プレイヤーができる範囲が決まっているので、(自分のカードと左隣のプレイヤーのカードのみ)
自分がタスクに対して何もできない場合は、ゲームの勝利に近づかないわけです。
そうなると、プレイヤーは自ずと「自分ができることを行うように考える」ことになりました。
協力ゲームにする、という根本の調整によりいくつかの課題が解決され、この路線で調整していくことになりました。
開発完了
ここからは、とてもスムーズでした。
まず、協力ゲームと推理ゲームというジャンルにはいくつかの先行作品があります。
「ザ クルー」「花火」などがそれに当たります。
こういったゲームの特徴を理解し、それを『PAPITO パピトー』に当てはめていきます。
・ゲームのアクションによって、「手がかり」がゲーム全体に残ること
・その「手がかり」によって推理ができること
・ただしその「推理」によって一意に定まることもあれば、いくつかの可能性が残ること
こういった特徴が『PAPITO パピトー』のプレイに反映されているように、様々に調整をしていきます
例えば、カードの色の数、カードの数字、ジジ抜きで欠けさせるカードの枚数、などなど
次に、協力ゲームとして「会話をどうするか」というのを決めていきます。
協力ゲームには「奉行問題」という話題が避けられません。
そのため、協力ゲームにはいくつかの解決方法があるわけで、その解決をどのように行うかを考えました。
例えば、そもそもゲームで会話を制限しないタイプもあります。
「パンデミック」「イーオンズエンド」などがそれに当たります。
他にもタスク過多、時間制限、などいくつかの方法があります。
が、今回はシンプルに「手札の内容を言ってはいけない」だけに留めました。
これは、会話に対して明確なルールを決めすぎてしまうと窮屈さが勝ってしまったからでした。
厳密にやればやるほど、処理が増えますが、その処理が面白さに繋がらなかったので、最低限のルールだけ定め
あとはプレイヤーのハウスルールで自由に決めてよいと判断しました。
(これをルールブックに書くかどうかも迷ったんですが、書いてないということは、という感じで自由にやってもらえればな、と思っています)
おわりに
さて、『PAPITO パピトー』の開発記録を書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
あまりみない作り方をしたかなと思っており、製作者の一つの助けになったり、購入のきっかけになったらなと思います!
「花火」「ザ クルー」「ザ ゲーム」などのような協力ゲームが好きな方にはぜひおすすめしたい、そんな作品です!
https://forms.gle/6b4N1So4wxsX12sXA
ご予約お待ちしております!!