堀場工房 @horiba_wataru
ゲーム概要
- シンプルなルールで日露戦争を再現
- 補給の使い方が最大のポイント
- 戦術カードを駆使して勝機を掴め!
プレイ人数 | 2人 | プレイ時間 | 30〜60分 |
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対象年齢 | 12歳〜 | 価格 | 2,000円 |
発売時期 | 2018春 | 予約 | 可 |
ゲームデザイン | 堀場わたる | イラスト・DTP | たちばないさぎ |
ゲーム詳細
『日露戦役』の概略については前回お伝えしましたが、今回はもう少し具体的にゲームの内容をご紹介したいと思います。
まずゲームの目的ですが、勝敗はVP(勝利点)によって決まります。
VPを獲得できるのは日本軍だけで、VPにはプラスとマイナスがあります。
具体的には、決められた期限までに重要地点を占領できればプラス、ゲーム終了時に日本軍の部隊が損害を受けていたり、重要地点を占領できていないとマイナスといった具合です。
大雑把に言えば、日本軍は重要地点の早期占領を目指し、ロシア軍はそれを阻止することになります。
ゲームの部隊となるのは中国・東北部、かつて満州と呼ばれていた所が中心です。
ボード上は複数のエリアに分割され、両軍の部隊(ユニットと呼びます)は1回の移動で隣りのエリアまで移動できます。
ちょっと長くなりますが、以下にゲームの手順を記載します。
日本軍第1移動フェイズ
日本軍戦闘フェイズ
日本軍第2移動フェイズ
ロシア軍第1移動フェイズ
ロシア軍戦闘フェイズ
ロシア軍第2移動フェイズ
回復/増援登場フェイズ
艦隊作戦フェイズ
ロシア軍海軍移動(バルチック艦隊含む)
日本軍海軍移動
海上戦闘解決
終了フェイズ
日本軍補給獲得
ロシア軍補給判定
艦艇(海上ユニット)帰還
VP獲得
戦術カード獲得(日本軍が先に宣言)
なにやらずらずら~っと並んでいて、もうお腹いっぱいという感じですが、じつは一つ一つのフェイズでやることはとてもシンプルです。
ちなみに、ゲーム開始時にボード上に置かれる日本軍ユニットは2個だけ、ロシア軍も3個だけです。
だから、移動といってもその2個や3個を動かすだけです。
なお、日本軍は増援を入れても5個ユニット、ロシア軍は最大でも7ユニットだけです。
移動が終わったら戦闘ですが、これは自軍ユニットに隣接した敵ユニットに対して行えます。
戦闘には補給ポイントが必要です。補給を消費せずに行うこともできますが、成功率は低いです。
補給を入れない場合はサイコロを1個だけ振れます。1ポイント使ったら、追加でもう1個、2ポイント使ったらさらにもう1個追加できます。
こうしてサイコロを振って、自軍ユニットの戦闘力(ユニットに記載されています)以下を出した数だけ、ヒットとなります。
相手も同様にサイコロを振り、ヒット数を出します。
そしてその差分だけ、ヒット数が少ない側が損害を被ります。
『PACIFIC GO』をプレイされた方なら、ほぼ同じシステムと考えていただければわかりやすいです。
両軍の移動と戦闘が終わったら、損害を被ったユニットを回復させたり、増援を登場させたりします。
ユニットの回復にはやはり補給ポイントが必要です。
また、ロシア軍の場合は増援を登場させるのにもやはり必要です。
ここまでで、とにかく補給が必要だということはご理解いただけたかと思いますが、次の艦隊作戦フェイズが、日本軍の補給確保にはとても重要です。
ロシア軍、日本軍の順番で艦隊(水上ユニット)を出撃させますが、同じ海域にある艦隊は戦闘を行います。
そしてその結果、どちらが残っているか(あるいは残っていないか)によって、日本軍の補給ポイントが決定します。
つまり、ロシア艦隊をうまく追い払えれば海上交通路の安全が確保されて、より多くの補給が得られます。反対なら、ごく僅かな補給しか得られません。
要するに、海の戦いと陸の戦いはリンクしていて、日本は海の戦いに負け続ければ、やがて陸の戦いもじり貧になるというわけです。
さらに日本軍にとって厄介なのは、バルチック艦隊という強力な艦隊がいずれはやってきます。そこでなんとか元々いたロシア艦隊と合流させないように頑張らなければなりません。
一方、ロシア軍の補給も潤沢ではありません。
基本的にはサイコロを1個振り、その出目分だけ獲得できます。したがって、最小で1、最大で6です。
これではあまりに少ない! という場合は、皇帝陛下に直訴することもできます。すると追加でもう1個サイコロを振ることができますが、そうした場合は日本軍に1VPが入ります。
結果として、1VP差で勝敗が決まることも多いので、皇帝への直訴はよくよく考えて行いましょう。
最後に、ゲームに彩りを添える戦術カードについて述べましょう。
じつは、この戦術カードを獲得するにも補給ポイントを消費します。
しかし、戦術カードの中には強力な内容も多く、1ポイントを消費してでも買いたくなることでしょう。
たとえば、「大山巌」というカードは、使用することでサイコロ1個分の補給ポイントを獲得できます。したがって、1の目以外なら補給が増えるわけです。
ただし、戦術カードの中にはまったく使えないカードもあります。とはいえ、その場合でも相手にそのカードを使わせないという消極的な意味はあります(カードは自軍の国籍側でしか使えません)。
また、カードを使用することで無条件に1VPを獲得できる「樺太占領」というカードもあります。
このように、状況次第ではゲームの勝敗を左右することもあり得るのが戦術カードです。
以上をまとめると、『日露戦役』はお互いの手番に部隊(ユニット)を動かし、必要なら戦闘を行い、重要地点の確保を争うゲームです。
そして戦闘、回復、増援、戦術カード獲得には補給ポイントが必要で、目的達成のためにどのように補給を消費するかの決断を迫られます。
日露戦争は今から100年以上も前の戦いではありますが、それがどのような経過でどのような結末を迎えたのか。このゲームを通じてその一端を感じて戴ければ幸いです。