Joyple Games @JoypleGames
ゲーム概要
- 崩してもペナルティ無し バランスゲームが苦手な人でも安心です
- バランスゲーム+ビンゴ、いかにも運ゲーのように見えて実は……!?
- 石積みの技術、人を誘導する言葉の力、勝つのはどっち?
プレイ人数 | 2〜7人 | プレイ時間 | 10〜30分 |
---|---|---|---|
対象年齢 | 8歳〜 | 価格 | 100円 |
発売時期 | 2022秋 | 予約 | 可 |
ゲームデザイン | deztec | イラスト・DTP | イラストAC |
ゲーム詳細
木ゴマを積み上げていくバランスゲームにビンゴを組み合わせた作品です。
ルールは簡単です。
- ボード上の1つのマスに木ゴマを3つ積むと、そのマスの数字が全員のビンゴで達成となります
- さらに3つ、計6個積むと、そのマスの周囲8マスも達成となります
- さらに3つ、計9個積むと、さらに外側の16マスも達成となります
- 崩れてもゲームは続行され、崩れた石も積んだ数に数えるので、崩れた石の上にまた積んでいけます
- 石を全て積むか、誰かが12ビンゴを達成したら1ラウンド終了
- 2ラウンド行い、達成したビンゴの数で勝敗を決します
石塔が崩れてもペナルティは一切ありません。何度崩れても、不屈の精神で石積みを再開してください。
ポンポン積んでいけば、最短2~3分で1ラウンド終ります。平均的には10分程度でしょうか。それを2ラウンドやってゲーム終了となるので、20分をプレイ時間の目安としています。
「7人まで」としているのは、コンポーネントとして用意している筆記具が7本だからで、9人でも10人でもプレイは可能です。また最少人数は「2人から」としていますが、スコアアタックなら1人プレイも可能です。
ゲームの世界観
死者が辿り着く、三途の川。その手前にあるのが「賽の河原」です。親より早くに亡くなった子らは、賽の河原で石を積み、その功徳をもって成仏を目指します。しかし賽の河原には鬼がおり、積まれた石を崩して回ります。はたして、小さな魂たちが成仏できる日は来るのでしょうか。
賽の河原の伝承は経典の中にはなく、俗信とされます。が、日本では古くから信じられ、鎌倉時代には『賽の河原和讃』が成立しました。全国的に広まったのは江戸時代のこととされます。
ひとつ積んでは父のため ふたつ積んでは母のため……
このゲームに、明確な鬼は登場しません。しかし、自然と積んだ石は崩れます。人の望みがホイホイかなうことがない、その天然自然の理こそ、鬼なのかもしれません。
伝承において、子どもたちを救うのは地蔵菩薩です。しかしこのゲームには、鬼と同様、地蔵菩薩は登場しません。ただし、石を積んだ功徳は無駄にはならず、少しずつビンゴカードに蓄積されていき、いずれ誰かが成仏に成功します。このビンゴカードこそ、地蔵菩薩が全てのプレイヤーに与えた導きの手であり、積まれた功徳を余さず拾う因果の理です。
このゲームでは、「自分のためだけに石を積む」ことはできません。個々のプレイヤーが私利私欲で石を積むのは、人のすることなのだから当然です。しかし全ての功徳は森羅万象に作用し、自分自身も、他のプレイヤーも、その因果の中にいます。
基本的には自分の思うままに石を積み上げられるプレイヤーが有利なゲームですが、全く石を積むことに貢献しなかったように見えるプレイヤーが、ゲームの勝者となることもあります。因果の網の目を人の身で全て理解するなど、どだい無理な話なのであります。
バランスゲームが苦手な人にこそ遊んでもらいたい
私がゲームをつくるとき、プレイヤーのペルソナは、自分自身か、私の両親としています。『賽の河原』は、かつて『箸でCUBEs』を遊んでもらった際に、当初、両親が「プレイしたくない」といったことを思い出してつくった作品です。
なぜ『箸でCUBEs』を遊びたくないのか。そう私が問うと、「こういうの、下手だから」「積んでも崩れるから」だと両親はいいました。それはそういうゲームなんだから仕方ないじゃないか、と当時の私は思い、無理やり一度遊んでもらって、抵抗感を上回る面白さを体験してもらうことで、「問題を解決」したつもりになっていました。
いや、それは確かに、解決ではあったのです。『箸でCUBEs』は、はりーさんの作品であって、私が作りかえるわけにもいきませんし。が、本当はそこで、別のアイデアもあり得たのではないか、よく考えずに安直な道を選んだのではないか、そういうトゲが、心に刺さったままになっていました。
たいていのバランスゲームは、崩したら失点とか、失格とか、敗北とかになっています。だからバランスゲームは好きじゃない、怖い、苦手、という方はたくさんいるのだと、ゲームマーケットの店番担当として『箸でCUBEs』の試遊をやった経験からも、思います。
本作『賽の河原』では、思い切って、いくら崩しても何らペナルティ無し、というルールにしています。ゲーム上のペナルティが無くても、心理的抵抗まではゼロになりませんが、まず「やれることは全部やりたい」と思いました。
『箸でCUBEs』の試遊をしている際、「うちは子どもが小さいから、無理」という意見も聞きました。子どもが崩してしまうので、ゲームが公平に進行できない、というのです。その点、『賽の河原』は、ゲーム中に、子どもに机を揺らされてもOKです。不可抗力で積んだ石が崩れても、構いません。それでゲームが壊れてしまう、ということがないようにしています。悪意なく崩れたなら、仕方ない。
従来のバランスゲームを否定するつもりは、全くありません。「絶対に崩したらダメ」だからこそのヒリヒリ感は、『賽の河原』では味わいにくくなっています。「欠点をつぶそうとして、美点までつぶしていないか?」とは、私も思うことです。『賽の河原』は、究極最高のバランスゲームでは、ないでしょう。しかし、バランスゲームというジャンルのラインナップに、こういう作品が無いのは、寂しい、そんな作品になったと思っています。
ゲームマーケットの直後、両親と旅行に行き、旅先で『賽の河原』を遊ぶことができました。
幸いにして、大いに楽しんでもらうことができ、「このゲームを作ってよかったな」と思いました。
協力風味の対戦ゲーム
『賽の河原』のもうひとつの源流が、『ダブルビンゴカルテット』です。
『ダブルビンゴカルテット』は、JoypleGames内で行った「バリュープロポジション」から誕生したゲームでした。ふだんあまりボードゲームに親しんでいないメンバーから出た意見として、ガツガツ勝敗を争うことへの忌避感、わかりやすさ・見通しがよいことの大切さ、それでいて単純すぎず、遊ぶ中でバラバラに見えた要素がつながる面白さがほしい、言葉によらないコミュニケーションがある協力ゲームがいい、全くの運ゲーは嫌だけど運要素はほしい、などなどがあり、その多くを満たすツールとして、ビンゴが浮かび上がりました。
ビンゴをゲームに組み込むと、自然と「協力ゲーム風味の対戦ゲーム」になります。自分一人だけのために行動することが難しく、何をしても他プレイヤーの利益になるのです。こうした性質が、じつはバランスゲームにピッタリではないかと思い至り、『賽の河原』の原型ができました。
結局はビンゴだから運ゲーだよね……と見えるのが、この作品のいいところです。本当は、意外と知恵比べのゲームになっており、どのマスに石を積むか、他人に積ませるか、その口八丁手八丁が勝敗のカギです。とはいえガチガチの他プレイヤー誘導ゲームではなく、基本は個々の直感的なプレイで遊べる間口の広い作品なので、気楽に遊んでほしいのです。
ビンゴはいい意味で軽く見られており、プレイヤーのガードを下げる効果があります。「所詮はビンゴでしょ」という気楽さで、とりあえず遊んでみていただきたいのです。
『賽の河原』は2ラウンドで1ゲームとしています。2ラウンド続けて遊ぶことで、「あ、ただの運ゲーじゃないんだ」と気付いてほしかったからです。2回続けて取り組むと、どのプレイヤーも「次はもっとうまくやろう」と考え、結果、これが運任せのゲームではないことに、自然と気付いてくれる……というのが、テストプレイから見えてきたことでした。3回、4回と増やせば、鈍い人でも「ただの運ゲーじゃない」とわかってもらえますが、ゲームとして重くなり過ぎます。2回がちょうどいい、と判断しました。
とまあそんなわけで、『賽の河原』は、バランスゲームを苦手とし、敬遠してきた方にも楽しめる構造でありつつ、バランスゲームの楽しさは十分に残っている、そんな作品になったと自負しています。ぜひお手に取っていただきたいです。
石の形
『賽の河原』は、積む石の形が異なる3種類をご用意しています。
- 『トリックテイカーズ』製作時に黒王冠の代用品として用意したグレー王冠の木ゴマ
- 『トリックテイカーズ』製作時に黒王冠を発注したはずが、なぜか誤って届いた黒十字の木ゴマ
- 『トリックテイカーズ拡張版』製作時に誤って届いた、想定と異なる色の緑キューブの木ゴマ
難易度は黒十字が少し高く、他は大差ありません。見た目の好みで選んでください。
石の形が変われば説明書の図も変わってしまうので、説明書はそれぞれに作成しています。