モーモーゲームズ&teamOJyO
京都のボードゲームカフェcomedyに関わりのあるメンバーによる2サークルです。 かわいく、でもしっかりゲーム性のあるゲームを作っています、乞うご期待!
- 『HAPPY BITHDAY TURTLE!!』デザイナーズノート
- 2026/5/18 19:17
かめさんの誕生日を、みんなで準備するゲームができるまで
こんにちは。teamOJYOです。
今回は、私たちが制作したボードゲーム『Happy Birthday Turtle!!』について、デザイナーズノートを書いてみようと思います。
このゲームは、かめさんの誕生日パーティーを、まわりの動物たちがサプライズで準備するゲームです。
りす、もぐら、かえる、あひるたちが、かめさんが帰ってくる前に、ケーキやプレゼント、飾りつけなどを準備していきます。
見た目は絵本のようにかわいらしく。
中身は「どこを手伝うか」「どれくらい手伝うか」「最後の仕上げを誰が取るか」を考える、ちょっとした読み合いのゲームです。
小学生でも遊べるくらいシンプルにしつつ、大人が遊んでも少し悩める。
そんなバランスを目指して作りました。
なぜ「誕生日」のゲームになったのか
最初に悩んだのは、どんなテーマのゲームにするかでした。
自分にとっては、ゼロから作る初めてのゲームです。
せっかくなら、自分なりのきっかけがあるテーマにしたいと思っていました。
次のゲームマーケットの日程を調べてみると、開催日が5月23日・24日。
そして、5月23日は私自身の誕生日でもありました。
「それなら、誕生日をテーマにするのは面白いかもしれない」
そんなところから、このゲームの出発点が決まりました。
さらに、5月23日は「世界カメの日」でもあることが分かりました。
誕生日。
カメ。
ゲームマーケットの日程。
この3つがつながって、自然と、
かめさんの誕生日を、みんなでお祝いするゲーム
というテーマが見えてきました。
主役のかめさんは、今はのんびりお散歩中。
その間に、まわりの動物たちがこっそりサプライズパーティーを準備する。
この世界観は、かなりすぐに決まりました。

作りたかったのは「軽いワーカープレイスメント」
テーマが決まったあとに考えたのは、ゲームシステムです。
今回やってみたかったのは、
「強さのあるワーカープレイスメント」を、できるだけ軽くして、子どもでも遊べるようにする
ということでした。
ワーカープレイスメントは、自分のコマを場所に置いて、アクションを行うタイプのゲームです。
多くの場合、「どこを先に押さえるか」が大事になります。
ただ、私が好きなゲームの中には、単なる早い者勝ちではなく、置くコマに強さがあり、あとから置いても強いコマなら有利になるようなものがあります。(Bastille(バスティーユ)など)
この仕組みはとても面白いのですが、そのまま作るとルールが重くなりがちです。
コマも増えますし、得点計算も複雑になります。
今回は、かめさんの誕生日を準備するというやさしいテーマです。
子どもでも遊べるくらい簡単にしたい。
でも、大人が遊んでもちゃんと悩めるようにはしたい。
そこで、「強さのあるワーカー」の面白さを残しつつ、カードだけでできるくらい軽い形を目指しました。
基本のアイデア
このゲームでは、テーブル上にいくつかの「お祝いの準備」が並びます。
ケーキ、プレゼント、飾りつけのようなものです。
それぞれの準備には、完成に必要な数字があります。

プレイヤーは毎ラウンド、手札からカードを出して、どの準備を手伝うかを決めます。
出すカードは、
- どれくらい手伝うかを示す数字のカード
- どこの準備を手伝うかを示すカード
の組み合わせです。
数字が大きいほど、たくさん準備を進められます。
ただし、数字が大きいカードほど、行動順は遅くなります。
ここが、このゲームで一番大事なところです。
小さい数字は、進める量は少ないけれど早く動ける。
大きい数字は、たくさん進められるけれど、ほかの人のあとに動く。
そして、準備は必要な数字を超えてしまうと置くことができません。
つまり、
たくさん手伝いたい。
でも、先に進められると置けなくなるかもしれない。
安全に小さい数字で行くか。
大きい数字で一気に進めるか。
という悩みが生まれます。
この「大きい数字は強いけれど遅い」「小さい数字は弱いけれど早い」という関係は、最初のプロトタイプからずっと残っている部分です。
「完成させる」ことを気持ちよくしたかった
このゲームでは、準備がちょうど完成すると、そのお祝いが完成します。
誕生日パーティーの準備なので、ただ数字を増やすだけではなく、
ケーキが完成した
飾りつけができた
プレゼントの準備ができた
という感覚がほしいと思っていました。
そのため、最後に完成させた人には、分かりやすいボーナスが入るようにしました。
ここは、制作途中で大きく変えた部分でもあります。
初期案の反省点
初期案で大きかった反省点は、置きたいと思えない場所が生まれてしまったことです。
初期案では、完成した準備ごとに「誰が一番多く貢献したか」を比べる、マジョリティ的な得点方式にしていました。
一番多く貢献した人が3点、次の人が2点、その次の人が1点、という形です。
ただ、この方式だと、一度優勢が見えた場所には、後から行く意味が薄くなってしまいます。
場にはいくつかの準備が並んでいるのに、マジョリティがほぼ決まっている場所や、得点につながりにくい場所が出てくると、プレイヤーはそこに行かなくなります。
選択肢は多く見えるのに、実際には選べる場所が少ない。
これはあまりよくありませんでした。
本当は、どの準備にも最後まで行く理由があってほしい。
そこで現在のルールでは、「完成させた人がボーナスを得る」形に変更しました。
これによって、今まであまり関わっていない準備でも、最後に完成させれば意味があるようになりました。
もう1つは、作業感が出てしまったことです。
この場所に行くのが明らかに得。
ここに置いても意味がない。
マジョリティがほぼ決まっている。
そういう状況が増えると、「悩んで選ぶ」というより、「一番損しない場所を処理していく」ような感覚になってしまいます。
最後に、マジョリティを表現するために、場の情報量も増えていました。
どこが完成しそうなのか、誰が有利なのかが分かりにくくなっていたのも問題でした。

「アリさん」という、少しだけ予定を狂わせる存在
現在のルールでは、プレイヤーが行動する前に、アリさんが少しだけ準備を手伝ってくれます。

これは、ゲームの中でかなり気に入っている要素です。
アリさんは、基本的には手伝ってくれる存在です。
でも、プレイヤーからすると、必ずしも都合のいい手伝いとは限りません。
自分が「ここに3を置こう」と思っていた場所を、アリさんが先に1つ進めてしまう。
その結果、置こうと思っていたカードが置けなくなる。
逆に、アリさんのおかげでちょうど完成に近づき、自分の小さい数字で完成させられることもあります。
つまり、アリさんは単なるランダム要素ではなく、プレイヤーの計画を少しだけずらす存在です。
完全に運任せにはしたくない。
でも、すべてが読み切れてしまうと淡々としてしまう。
アリさんがいることで、
あ、そこを進めるのか!
予定が変わった!
じゃあこっちなら置けるかも!
という小さなドラマが生まれます。
テーマ的にも、「パーティーの準備をアリさんも手伝ってくれている」という形にできたのは、かなり気に入っています。
ゲームを作ろうと思ったきっかけ
そもそも私が「自分でもゲームを作りたい」と思ったきっかけは、前回の秋のゲームマーケットでした。
そのとき、友人とアートワーク担当が中心となって『宇宙亀の方程式』というゲームを制作し、ゲームマーケットに出展しました。
私は制作の過程を少し手伝ったり、出展準備やルール説明まわりの話を聞いたりしていたのですが、その中で、ゲームを作ることそのものの面白さを感じていました。
当日、私は資格試験があって会場には行けなかったのですが、終了後にアートワーク担当から、
すごく楽しかった
いろんな人に遊んでもらえてよかった
ゲームマーケットの雰囲気がとても面白かった
という話を聞きました。
それを聞いて、やっぱり自分でも一作作ってみたい、という気持ちが強くなりました。
頭の中で考えているだけだと、ゲームはなかなか形になりません。
でも、ゲームマーケットという発表の場があると、「そこに向けて作る」という目標ができます。
そこで、次のゲームマーケットに向けて、新しいゲームを作ってみようと考えました。
おわりに
『Happy Birthday Turtle!!』は、teamOJYOとしてゲームマーケットに出品する作品です。
かめさんの誕生日を、動物たちがこっそり準備する。
そんなやさしいテーマの中に、数字の大小、行動順、完成のタイミング、そしてアリさんによるちょっとしたズレを入れたゲームになりました。
初めてゼロから作ったゲームとして、かなり思い入れのある作品です。
見た目はかわいく、ルールはできるだけ分かりやすく。
でも、遊んでみると少しだけ悩ましい。
そんなゲームになっていたらうれしいです。
ゲームマーケットで頒布予定ですので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
予約も受け付けています。
どうぞよろしくお願いいたします。
予約受付中!
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