WILD CARDS @WILDCARDS_2203
札幌のボドゲ制作サークル「WILD CARDS」です。「法律で遊ぼう!」を主なテーマに、現職の弁護士がゲームを制作しています。 処女作である「愛人に私の財産の半分を遺贈する」は、ゲームマーケット2022秋において開始1時間で150個を完売しました! 今回はその「愛人」をボリュームアップし、【改訂版】として頒布する予定です!もっとドロドロに、もっとバチバチに!!
- 【弁護士×遺産相続】ゲームの流れと実際の相続手続の流れをいっしょに紹介します3(無事に相続?編)
- 2025/11/3 9:52
お世話になっております。
WILD CARDS のわんです。普段は札幌で弁護士やってます。
ドロドロ系遺産相続バトルゲーム「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」を頒布いたします(リンクはゲーム紹介ページ)。
ご興味がありましたら、是非こちらからご予約をお願いいたします。
今回は、ちょっと不定期連載的に、弊ゲーム「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」のゲームの流れを、実際の相続手続と対比させながら、説明しております。
------------------------------------------------------------------
弊ゲームは、
①故人が遺した財産を調査しつつ、他の相続人候補と戦う準備をする【財産開示フェイズ】
③相続人が確定してようやく遺産分割手続が始まる【精算フェイズ】◀
の3フェイズで構成されています。
本記事では、そのうちようやく迎える相続場面、③精算フェイズを説明していきます。
------------------------------------------------------------------
【精算フェイズの流れ】
さて、このフェイズに突入したときには、プレイヤー間で争い尽くして、勝利を確信している人もいれば、負けを予感している人もいることでしょう。(紛争(第2)フェイズの流れはこちら!)
たしかに、基本的にこのフェイズまで来たら、前の紛争フェイズで勝ち残った(あるいは押し付けられた)相続人たちだけが、法律どおりの相続分で相続財産を分割してそのラウンドは終了です。
しかし!気を抜くのはまだ早い!
計算のフェイズに入ってなお、最後の最後まで展開が分からないのがこのゲームです!
どういうことかというと、まず、相続の前に以下のような「割り込み処理」が複数発生する可能性があります。
=====①「欠格事由」による相続人の入れ替わり=====

「欠格事由」はこのフェイズまで持っているプレイヤーが相続できなくなるババカードです。相続できなくなったプレイヤーが相続人だった場合、次の身分のプレイヤーに相続権が移ります。
つまり、相続できずに悔しい思いをしていたプレイヤーが棚ぼた的に遺産を得る可能性があるのと同時に、借金を相続しなくてすんだと笑っていたプレイヤーが一転借金を抱えるハメになる可能性があります。
=====②愛人への遺贈=====

このフェイズまでに「愛人に私の財産の半分を遺贈する」との記載のある「愛人遺贈カード」が表になっていれば、愛人身分のプレイヤーは、なんと他の相続人に先駆けて、財産の半分を得ることができます。
基本的に愛人はどうあがいても相続できないのですが、このカードが出ると、一気に確変に入ります。
=====③寄与者による財産の先取り=====
寄与者は、(このゲームにおける定義としては)生前に被相続人にとても良く尽くした人です。紛争フェイズ中、単独で一番自分の場にカードがあるプレイヤーは、財産からランダムで1枚、他の相続人に先駆けて財産を得ることができます。
=====④奥の手カード「特定遺贈」による財産の先取り=====

奥の手カードは、相続権がない身分のプレイヤーに対して配られるお助けカードです。そのうちの一つ「特定遺贈」は、任意の財産1枚を、他の相続人に先駆けて得ることができます。
また、上記のような相続財産を取り合うこととは全く異なる形で、以下のような財産を得られるプレイヤーもいます。
=====⑤カード未使用ボーナス=====

「婚姻無効」や「親子関係不存在」は、使用せずにこのフェイズに突入した場合、ボーナスとして点数を取得できます。
=====⑥「死亡保険金」の受取り=====

このフェイズまでに「死亡保険金」が表になっているとき、「保険金受取人」を持っていたプレイヤーは、財産カードの山札から3枚引き、その合計を点数として取得できます。一気に大量得点のチャンスがある、めちゃくちゃ夢のあるカードです。
さらに、ここでは割愛しますが、このフェイズにおいても、遺産がマイナスになったりプラスになったりという可能性が(かなり低いながらも)発生します。
このように、一つ一つの事象が発生する可能性は低いものの、最後の最後までまさかの展開があり得る、というのがこのフェイズになります。
ここまでに説明した3フェイズを3回繰り返し、一番相続財産が多かったプレイヤーが勝者となります。
【実際の相続手続との対比】
相続は、遺言がなければ、このゲームのとおり、法定相続分(法律によって「この身分の人にはこれだけ」と定められている遺産相続の割合のこと)に沿って遺産が分割されることになります。
ただ、(相続放棄の場面を除いて)そんな簡単な相続事件はそうそうありません。(いや、もしかしたら弁護士が見聞きしている相続事件が簡単でないだけで、本当はほとんどが簡単な相続なのかもしれません。)
遺産が現預金・不動産・株式みたいに複数に渡っていたら、それをどう分配するか、いつを基準として価値を計算するかという問題に直面します。
また、遺産を維持・管理している相続人がいたら「寄与分」、生前に特別な金銭を受け取っている相続人がいたら「特別受益」といった、遺産の分配にかかる例外的な考え方を別途検討する必要がでてきます。
遺言書についても、あったら安心ということは決してなく、あったらあったで「遺留分」(法が相続人に保証する最低限の相続分のこと)も発生しがちです。
さらにいえば、相続って当然ながら、家族の問題でもあって、法律の問題で片付けられない場合も本当に多いんです。法的には正しいんだけど、ここまで請求するもんかね…と何ともやるせない気持ちになることもあります。
このゲームでは、あくまで相続の法的な帰結のみを見て制作しております。だから遺産は経済的価値がはっきりしていて、特別受益や遺留分といった複雑な処理はなく(実は本ゲームにおける寄与者の概念も、本来の寄与者の概念とは異なっています)、当然家族としてどのような相続が良いのかという点も度外視しています。
ちょっと真面目な話になりましたが、あくまでこのゲームは「お手軽にドロドロな遺産相続を楽しもう(しかも割と法律に基づいてるよ)」というテーマで制作したものです。実務との対比ということで踏み込んだ話をしましたが、ゲーム性とは全く関係のない話なので、是非ゲームの中でワイワイしながらドロドロしていただければ幸いです。
以上です。
さて、弊ゲームと実務の流れとを対比させながら不定期に記事を投稿していた今回の企画ですが、無事に最終回を迎えられてホッとしております。少しでも面白いと思ってもらえたら幸いです。
それでは皆さん、より良い遺産相続ライフを!!
「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」の取り置き予約はこちら!!
---------------------------------------------------
弊サークルでは、以下の作品について取り置き予約を受付中です。
・法律に基づいたドロドロ遺産相続バトル「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」
・しりとりをしながらワイワイかるたとり「しりとりどり」
・数字の「お尻」でハイ&ロー「デジタルナンバーカジノ」(委託)
お気になった作品がありましたら、こちらの取り置き予約フォームより、是非ご予約をお願いいたします!!
