劇団Question

はじめまして!サークル「劇団Question(クエスチョン)」と申します。
今回がゲームマーケット初参加です。

開発中の新作カードゲーム『シュレディンガーの猫系彼女』をお持ちします!

テーマは 量子力学×恋愛。
色んな表情の〝彼女〟を「観測する?しない?」でその本心を確かめるか、あえて時間を置くかで駆け引きをする、ゆるくてシンプルなパーティゲームです。
価格 ¥2,000/プレイ人数:2〜4人 / 対象年齢:10歳〜大人まで / プレイ時間:10〜20分(予定)/ 出展:11/22(土)のみ)
ぜひお気軽にお立ち寄りください!
「笑顔」と「怒り」と重ね合わせ状態……あなたの恋の行方は観測してみるまでわからない!?

【シュレカノ】どこがどう“量子”なのか? ちょっぴり真面目なサイエンス解説
2025/10/13 13:06
ブログ

■ 《シュレディンガーの猫系彼女》はどこがどう“量子”なのか

こんにちは、劇団Question(@GekidanQuestion)です!🎭
 

今回は《シュレディンガーの猫系彼女》をより楽しんでいただくためのサイエンス解説の記事を書いてみました!
「よく分からんけど、なんとなくこういうものなんだな〜🤔」くらいの気持ちで、用語や雰囲気を掴んでいただければと思います。
 

※なお、ゲームそのものは30秒で分かる簡単ルールですのでご安心ください!👉30秒ルール動画

 

■ そもそも「量子」って何?

……という疑問がまず浮かぶかと思いますが、
ざっくり言うと原子や電子のように「超ミクロな世界で、”量子力学”にしたがって振る舞う粒子とかのこと」です。
(厳密にはエネルギーの単位のことを指すとか、“量子的に振る舞う粒子”という形容詞的な使い方が正しいとか言う話もあって、あまり深掘りすると「素人質問で恐縮ですが……(ゴゴゴゴ)」と専門家の先生から即死攻撃を受けて強制敗北イベントになるので、このへんでやめておきましょう😇)

とにかく今から100年ぐらい前、この宇宙にはアインシュタインが提唱した主にマクロな世界を支配する「相対性理論」と、もうひとつミクロな世界を支配する「量子力学」の物理法則=自然界の2大ルールがあることが発見されました。


そしてこの量子力学で言うところの“量子的な振る舞い”には、一般常識に反する性質があります。
代表的なところでは、

  • 波の性質を持ちながら、粒の性質も持つという"波動と粒子の二重性"
  • 複数の状態を同時に持ち、観測されるまでどちらの状態に収束するか確率でしか分からない"重ね合わせ"
  • 2つの粒子がどんなに遠く離れていても、まるでお互い通じ合っているかのように、片方の状態が決まるともう片方の状態も決まるという”量子もつれ”

すでに「なんのこっちゃ🤗 」という感じですが、あまりにも不思議なのでかのアインシュタインでさえ信じきれなかったというエピソードは有名ですし、私たち一般人にとってもにわかに信じづらいポイントです(そしてともすれば、スピリチュアル的な怪しい方向性にも結びつけられやすいのが難点だったりします…)。

しかしとにかく、言わば"自然界の裏ルール"のごとく、ミクロの量子の世界⚛️ではそういった現象が実際に起こっているのだ…ということを人類は提唱し、確かめてきました。

最初はニールス・ボーアやハイゼンベルク、そしてシュレディンガーなど、偉大な物理学者たちによって理論として確立——やがて様々な実験によって証明されていき、最近では量子コンピュータなどで話題ですが、実は半導体やレーザー、GPSなどの原子時計といった日常技術にも応用されていたりします。

 

■ シュレディンガーの猫って?

さて、タイトルに使われている「シュレディンガーの猫」は、この中で特に量子の”重ね合わせ”という性質について、かつて物理学者のエルヴィン・シュレディンガー先生が提唱した思考実験から来ています。

これは先ほども申し上げたとおり、原子や電子が観測されるまで位置や向きなど同時に複数の状態を取る性質——言わばオセロのコマが白でも黒でもあり、ガイスターのおばけが青でも赤でもあり得るような、「なんのこっちゃ」な性質だと思ってください👻

シュレディンガー先生曰く、もしここに重ね合わせ状態の量子が「A」と「B」のどちらに収束するかによってそれを検知し、結果によって箱の内部に毒ガスを噴出するという仕組みを発明した上で、その中にかわいそうな猫を閉じ込めてみたとします。つまり、量子が「A」に収束したなら装置が起動して毒ガスが箱の中に満ち、猫は死んでしまう。「B」なら装置は起動せず、猫は生きたまま……というジグソウも真っ青なデスゲーム的ガジェットです。
もしこういう状況を作ったら、ミクロの世界だけじゃなくマクロの世界にまで量子の"重ねあわせ"が現れることになるよね。つまり中の猫は誰かが観測するまで「生きている状態」と「死んでいる状態」の"重ね合わせ"ってことになるよね? え、量子力学ってやばくない? という例え話でした。

※もっとも、シュレディンガー自身は量子力学の生みの親の一人でもありながら、この現象には懐疑的な立場からこの話を持ち出したわけですが、名前のかっこよさとか微妙に中二心をくすぐるサイコな世界観設定も相まって(?)独り歩きしてしまい、量子力学は知らなくても「シュレディンガーの猫」という言葉は知っている、量子といえば猫だよね🐈‍⬛という状況を生み出すことになりました。

 

■ このゲームでは……

前置きが長くなってしまいましたが、《シュレディンガーの猫系彼女》は、まさにこの”観測するまで状態が確定しない”という量子の重ね合わせをテーマに作っています。

プレイヤーであるあなたは彼女との大事な記念日を忘れてしまい、おそるおそる帰宅します。ところが不思議なことに、彼女はなぜかにこにこと笑顔。良いことでもあったのか、あるいは逆に心底怒っているのか。あれえ、なんだろうこれ。どっちのやつ……? まさに観測するまでその本心は探れない、笑顔☺️と怒り💢の”重ね合わせ状態”というわけです。

そこであなたは、山札の上で微笑む彼女カードを前に、勇気を出してめくってその本心を観測するか、あえて大人しく伏せたまま未観測でキープしておいて様子を見るかを迫られる……というのがゲームの基本設定。

そして実際の量子がそうであるように、同じ重ね合わせでも「笑顔(0)」と「怒り(1)」のどちらに収束するかは完全に五分五分ではありません。

「どっちかというと笑顔に収束しやすい状態」とか「怒りに収束しやすい状態」があって、これはあくまで確率でしか推しはかることができないのです(それを示すため、このゲームでは例えば「80%」と書かれた彼女は、山札の5枚中4枚が笑顔で1枚が怒り、として表現しています)。
※なお当たり前ですがカードはめくられる前から本当の状態は決まっているわけですが、そこは皆様の脳内補完力もお借りして「めくるまで収束していない」つもりになっていただければ幸いです🥺

 

こうして箱の中の猫を観測するがごとく、彼女の心と場の空気を読みながらゲームを進めていくわけですが、この量子の”重ね合わせ状態”というのは実のところ、とってもデリケートです。そっと未観測にしていても、時間とともに勝手に壊れてどちらかに収束したりしてしまいます。※これをデコヒーレンスなどと呼んだりします。

《シュレカノ》でも、未観測を選択したプレイヤーは代わりにボード上の「時間発展チップ🕒」をめくらないといけません。そしてチップの効果次第では、せっかくそっと伏せておいたはずのカードをどれか強制的にめくらされたりします。
 


言ってみれば、「時間を置いたらむしろ逆効果だった」という危機的状況……そう、彼氏なら見て見ぬフリなどせず、時には漢気を持ってしっかり目の前の彼女に向き合うことも必要なのです(というか、たぶん現実だったらそっちをおすすめします)。

 

■ いろんなイベントも量子ネタ

その他、ゲーム中に登場する「イベントカード」たちも、元ネタは"量子もつれ"や量子コンピュータにおける”誤り訂正”だったり、

 

量子もつれを使った技術である”量子テレポーテーション”や、今年のノーベル物理学賞を受賞した”トンネル効果”だったりしますが、

……ちょっと長くなってまいりましたので今回はここまで。
また機会を見てご紹介できればと思います!!

※なお《シュレカノ》の製品版には簡単にですが、それぞれの量子ネタの短い解説コラムも同封しておりますので、よろしければぜひそちらもご覧ください!🙇
 

■ まとめ

いかがだったでしょうか……?
少しでもこのゲームやコラムが、不思議で深遠な物理世界への興味の入り口になっていただければ幸いです。

量子100周年の2025年は、国際量子科学技術年…… 11/22(土)、ぜひお気軽にブースにお越しください!!

取り置き予約フォームはこちら👉 https://forms.gle/mZzx9tpR8E5P3ttc9


※なお本記事は、科学的な厳密性はふわーっとざっくり曖昧な”重ねあわせ状態”となっております🙇
 本当に興味を持たれた方は、研究者の方々が分かりやすく書かれた素敵な本がたくさんありますので、ぜひそちらを手に取って”観測”いただければと思います! 

 そして繰り返しになりますが、ゲームそのものは30秒で分かる簡単ルールのゆるゲーになっておりますので、気軽に遊んでいただけたら嬉しいです!🤗 

 

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