ミスボドゲームズ

ミスボドゲームズは、"日常にちょっとしたミステリーを " をテーマにボードゲーム、マーダーミステリー、謎解き等を制作しております。

『街と和解する方法』あとがき
2024/11/21 17:30
ブログ

■あとがき
皆さん、こんにちは。ミスボドゲームズの秋山真琴(あきやま・まこと)です。ゲームマーケット2024秋お疲れ様でした。ミスボドゲームズのブースに立ち寄ってくださった方、さらにミスボドゲームズバージョンの『街と和解する方法』をお買い求めくださった方、厚く御礼申し上げます。本記事は、まえがきを対をなす記事で、言わばデザイナーズノートとなります。まえがき未読の方は、まえがきからお読みいただければ幸いです。

『街と和解する方法』まえがき

今回、ブースで売り子として立っている際、何人もの方から『街と和解する方法』について質問を受けました。そもそもニルギリさんご自身が販売時にルール説明を行っていなかったことから、最初は「メカニクスの原案は、スルメデイズのニルギリさんが考えられたもので、そのアイデアが素晴らしかったのでニルギリさんにお願いして、ミスボドゲームズバージョンを作らせていただきました」と説明になっていない説明を行いました。案の定、煙に巻かれたような方が続出し「不親切に感じられるかもしれませんが、どのように遊ぶのかも含めてのゲームです。ネタバレすると考える楽しみを奪うことになってしまうかもしれませんが、もう少し説明しましょうか?」と言葉を重ねたところ、概ね半分の方が追加の説明を求められ、残り半分の方は「ちょっと考えてみます」と説明を断られました。こういった対話の中で、私の中でも『街と和解する方法』に対する理解度が深まり、解像度が上がるのを感じました。もしかしたら、ゲームマーケット2024春で入手した『街と和解する方法』を遊んだときでも、ニルギリさんに相談し、ミスボドゲームズバージョンの『街と和解する方法』を作らせてもらったときでもなく、ゲームマーケット会場に持ち込み、足を止めてくださった方との対話のなかで、私は初めて『街と和解する方法』を、ほんとうの意味で遊ぶことができたのかもしれない。そんな充足感を覚えました。

今回、私が用意した『街と和解する方法』は、以下の15作です。

「新宿駅東口」
「ボケルバ」
「チームラボプラネッツ」
「フォルテヴィータ」2枚
「SPRING TERRACE」
「みずほ台井上病院スタジオ」
「加藤珈琲店」
「漆黒の悟り」
「ビッグベン」
「ルーブル美術館」
「ムーランルージュ」
「ケルン大聖堂」
「フィレンツェ」
「フリンジクラブ」

上記のうち、ふらりと歩いていけるのは「新宿駅東口」と名古屋にある「加藤珈琲店」だけと言えるでしょう。「チームラボプラネッツ」「SPRING TERRACE」「みずほ台井上病院スタジオ」は目的がなければ足を伸ばすような場所ではありませんし、「ボケルバ」「フォルテヴィータ」「漆黒の悟り」は施設内を撮ったものなので、同じ場所に行くには入場料等が必要となります。そして、残りは海外です。
「新宿駅東口」を除き、特徴的な場所を題材としたのは、すべてその場所に行ってもらいたくて、そのための動機の一因になればと思ったからです。たとえばドイツはケルンにあるケルン大聖堂。ここは、エッセン・シュピールの会場から遠くなく、エッセンを訪ねたボードゲーマーの多くが会期の前後に訪ねる観光名所です。私自身、エッセンには長らく興味を抱いていましたが、海の向こうにあるそこは自分には関係ない場所と思い込んでいました。しかし2016年、32歳だった私は意を決してエッセン・シュピールに参加し、その際にドイツだけでなくフランスやスペインを周遊しました。以来、私の中で海外旅行に対する敷居は下がり、自身の価値観、世界観が広がるのを感じました。海外を撮影したものにつきましては、いつでも行ける場所ではなく、いつか行きたい場所として選んでいただき、1年どころか5年でも10年でも、いつか行けるようになったときに旅行の荷物のひとつに加えていただき、長く時間を掛けたゲームを終わらせてほしい──「ビッグベン」「ルーブル美術館」「ムーランルージュ」「ケルン大聖堂」「フィレンツェ」「フリンジクラブ」には、そんな願いを込めました。また、ミラノにいるニルギリさんのご友人との体験談が『街と和解する方法』の発端のひとつになったことを考えると、海外の風景を本作に取り入れるのは、とても納得度が高いのではとも感じました。
一方で2006年に有効期限の切れた写ルンで撮影したものは、基本的には山手線沿線としました。

「新宿」8枚
「虎ノ門」1枚
「新橋」2枚
「高田馬場」1枚
「東京」1枚
「本厚木」2枚

劣化したフィルムから現像した写真は色褪せており、新しいのに古い、令和6年に撮影した平成18年の写真と言えます。この写真を通して遊ぶことで、過去と未来が擬似的に出会うことができるのではと考えます。ちなみに山手線沿線と言いつつ本厚木の写真が紛れ込んでいるのは、私が主催をしているゲーム会「ミスボド本厚木」の会場として利用させていただいている、アミューあつぎを撮影したからです。この2枚だけは、ミスボド本厚木に遊びに来ていただきたいと思って用意しました。
以上となります。お買い求めくださった方が、楽しい時間を過ごしていただけることを心より祈ります。

秋山真琴 拝